- 日替わりコラム
Fri
3/12
2021
魚の料理で初心者が苦労するのは、包丁で腹を割き、内臓を取り出す下処理です。包丁使いが危なっかしいだけではなく、まな板も汚れます。そんな苦労から、個人発明家の遠藤伸一さんは、包丁を使わずにエラと内臓をきれいに取り出す調理器「ぐるぐるとって」を考案して事業化しました。
「ぐるぐるとって」は、30cm弱の2本のプラスチック棒からなります。まず1本を魚の口から腹の中へ押し込み、もう1本も反対側の口の脇から押し込みます。2本を重ねてぐるぐると回転させて引き抜くと、棒に絡まったエラと内臓が口から引き出されます。サバやアジ、サンマ、ワカサギなど、大小問わずどんな魚の下処理をもこなします。内臓が抜かれた魚は、外観はきれいな姿のまま。そのまま焼いても煮てもOKです。
「ぐるぐるとって」の棒はそれぞれの片側の面にゴムが貼られ、回転するときにゴムの摩擦力で内臓を絡め取る仕組みです。ゴムの面積はプラスチック棒全体の40%。この比率は、何度も実験して出した最適面積です。ゴムの面積が大きすぎると魚の腹が裂けたり、身が崩れたりします。逆にゴムの面積が少ないと、内臓をきれいに絡め取ることができないのです。遠藤さんは休日を利用して試作と実験を繰り返し、完成までに4年かかりました。
一般社団法人 発明学会 顧問平井工
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