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3/23
2021
東京商工リサーチは、2020年1月~12月2日までの介護施設の倒産件数と休廃業・解散件数を発表しました。それによると倒産は112件、休廃業・解散は406件でした。12月末までに、倒産120件、休廃業・解散はこれまでで最も多かった2018年の445件を超える可能性が高く、どちらも過去最多となる見込みです。倒産した8割が負債額1億円未満で、中小規模施設の厳しい状況が伺えます。
倒産件数が過去最多となった理由は、もともと人手不足だったところに新型コロナウイルスで拍車がかかり、先行きが見えず廃業を決断するケースが増えたためだと分析しています。従業員不足と回答した介護事業所は全体の65.3%で、特に訪問介護員は81.2%の事業所が不足していると回答。その最大の原因は介護業界の労働条件や待遇が良くないことだと考えられ、大手と中小の差が大きいように思えます。
介護施設が倒産しても、民事再生法により新しい運営者が施設を引き継げばそのまま入居し続けることが可能です。しかし、法人が解散し破産手続きがなされると、入居者は猶予期間中に退去しなければなりません。従業員は売り手市場なので再就職が可能でしょうが、入居者はすぐには転居できないこともあります。このような時期にこそ、業界や行政には何らかの手立てを打ってほしいと切に願います。
介護問題研究家中村和彦
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