- 日替わりコラム
Tue
9/14
2021
私は、自宅の屋根に降った雨を貯めて、植木の水やりやトイレの流し水として使っています。「酸性雨」が話題になった時にpH試験紙で確認したところ、降り始めの時に酸性の値になりました。降り続いたあとの雨を測ると、中性に近い値でした。では、こうして貯めた雨の水質はどうなるのでしょう。
私は15年以上、1年に2回、夏と冬に検査機関に依頼してコンクリート水槽に貯まる雨水の水質検査を実施しています。検査項目は一般細菌、大腸菌、pH値、有機物(全有機炭素の量)、味、臭気、色度、濁度など10項目です。水道法の水質基準に照らし合わせて、適・不適が判定されますが、驚くことに一般細菌や大腸菌で不適になったことはほとんどありません。有機物についても、基準値を超えていません。これは、不純物をほとんど含まない雨水の水質の良さを証明しています。時々不適になるのはpH値で、アルカリ性の10付近の値になることがあり、これは水槽のコンクリート成分の影響でアルカリ性に傾いていることが原因です。
雑用水として雨水の利用を考えているところですが、洗濯や洗車のほか、浴槽水への利用もできるかもしれません。災害時には、煮沸やフィルターを通して飲料水に利用できる可能性をもっています。
一般財団法人 日本環境衛生センター 技術調査役(環境衛生分野担当)中臣昌広
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