- 日替わりコラム
Fri
10/1
2021
ヒアリは、人を刺すおそれのある特定外来生物※ の一種です。体長2~6mmの赤茶色の目立つアリで、高い採餌能力や防御物質の分泌、働きアリの侵略などにより他種のアリと競合し駆逐する性質があります。女王アリは1日に2000~3000個の卵を産むことが可能で、巣内の個体数が大量に増えると大きな蟻塚を作ります。南米原産ですが、亜熱帯や温帯でも生息が可能です。日本でヒアリが見つかる場所の多くは、コンテナヤードです。コンテナヤードとは、保税地域の港頭地区で海上コンテナを一時的に保管しておく施設のことです。このコンテナ内にヒアリが潜み、日本国内に侵入したと思われます。
ヒアリの駆除は、コンテナヤードに入ることから始まります。ここではコンテナを吊り上げるガントリークレーンが絶えず動いており、非常に危険な場所です。クレーンは50mほどあり、ビルでいうと15階ほどの高さです。操作室から地上を見ても、人の存在はわかりません。コンテナヤードは流通を止めないよう昼夜を問わず動いているため、作業は早朝と昼食時の1時間のみに限定されます。時間内に食毒剤を散布し、決められた区画内で無駄なく、効率良く作業しなければなりません。ヒアリのほか、アカカミアリ、アルゼンチンアリも見つかっており、今後新たに特定外来生物のコカミアリが見つかるかもしれません。
※ 外来生物のうち、日本の在来生物の生態系や人命、農林水産業などに被害を及ぼすおそれのある生物
イカリ消毒株式会社 取締役・一般財団法人 環境文化創造研究所 理事谷川力
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