「学ぶ」から「教える」へ

　4月の入社から半年を経た新入社員の皆さんに、ある時私はこう言いました。「皆さんはこれまで学ぶ立場でしたが、これからは教える立場になっていただきます。皆さんが教える相手は、この工場で働いているスタッフたちです」。皆さん、少し驚いたようでした。
　人は誰かに教えることで初めて、考えを整理したり自分の理解不足に気づくことができます。それにより、考え方に大きな変化が生まれ、もう一歩踏み込んだ理解と経験ができるようになります。また、今は新入社員の皆さんも、あと半年もすれば後輩が入社してきて先輩になりますので、この時期にはそろそろそんな心構えも必要でしょう。
　新入社員の皆さんへは、「AラインではE商品を製造していますが、そのラインの工程の中で商品の出来ばえを大きく左右する工程はどこですか。また、基準を満たさなかった原因と改善策を教えてください」などの質問がありました。一生懸命に対応をした新入社員の皆さんに後日感想を聞いてみたところ、「これまでは表面的な知識だけだった自分に気がつきました。具体的な問題点の抽出や、改善策の蓄積が今後の課題だとわかりました」と話してくれました。研修担当者は、新入社員の皆さんに「なぜなんだろう。どうすれば改善できるのだろう」という意識を持ってもらえるよう、日々しっかりと寄り添ってください。

全部または一部を無断で複写複製することは、著作権法上での例外を除き、禁じられています