- 日替わりコラム
Wed
10/27
2021
「やさいバス」は、野菜の生産者と購入者をつなぐ革新的な青果流通の仕組みです。地域の道の駅や直売所、青果店などをバス停に見立て「やさいバス」という名の冷蔵車で巡回するというもので、静岡県を中心に全国各地で展開されています。
購入者は欲しい野菜をスマートフォンで注文し、生産者もスマートフォンで受注します。そして生産者は採れたての野菜をバス停に運び、「やさいバス」に乗せ、購入者は最寄りのバス停でその野菜を受け取るという仕組みです。集荷と配荷を同時に行うことで、新鮮な野菜をその日のうちに流通させることができます。
現在、青果流通は「ハブ&スポーク方式」といって、大都市に貨物を一旦集約してそれを仕分けし、地方に輸送する仕組みが主流ですが、多くの時間がかかるために野菜の鮮度は落ち、流通コストも上がります。しかし「やさいバス」のような地域の生産者と購入者との直接のやり取りにより、流通コストを大幅に抑えることが可能となったのです。
日本の農業はコストがかかるうえに収益が不安定というイメージを抱いている人が多く、就業人口が減少しています。農業が抱える問題のひとつである「流通」に着手した「やさいバス」の試みは、農業と地域経済を活性化させる大きな可能性を秘めています。
ライター東納英輔
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