- 日替わりコラム
Thu
10/28
2021
本田宗一郎※ 氏には絵画の趣味があったそうですが、商品開発をする人にとって絵を画く力があるかどうかは非常に重要な要素かもしれません。
本田宗一郎氏は「絵を画くことによって、人は自分が知らないのだということを知ることができる」と言いました。たとえば牛を飼っている農家の人に「牛の耳はどの辺に付いていますか?画いてみてください」と言うと、意外と画くことができないのだそうです。ところが画家は、「牛の耳は角の下のここに付いている」と言いながら簡単に画いてくれます。画家は一度本物を観察して画いたものは、きちんと記憶し、いつでも正確に画けるようです。
絵を画くということは、対象物を細かく観察することによって、すでに知っているつもりでいた対象物を改めて正確に認識し直す行為なのです。したがって、画家は、画くたびに物事を細かく観察する能力を強化していることになります。
言うまでもなく、画力は言葉では伝えにくいイメージを人に伝える際に重要なスキルとなります。しかも、絵を画く途中では細かな気づきが生まれます。これを繰り返すことで観察力が強化されれば、よりきめ細やかな商品設計ができるようになるでしょう。開発者の方々には、観察力強化のためのトレーニングとして絵を画くことをお勧めします。
※ 本田技研工業株式会社の創業者(1906〜1991)
商品開発アドバイザーH・B 山越
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