- 日替わりコラム
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11/16
2021
マンションで漏水が起きて部屋が水浸しになった場合、生じた損害は誰が賠償するのでしょうか。漏水事故は、原則的には漏水を起こした人が賠償責任を負い、それがわからない場合には工作物責任により、漏水箇所の占有者または工作物の所有者の責任を追及することができます。
したがって、マンションの専有部分における漏水は、漏水を起こした部屋を占有使用している人が賠償責任を負い(占有者に過失がなければ所有者)、共用部分とされる水道管や排水管から生じた漏水は、マンションの区分所有者全員で構成するマンション管理組合が責任を負うことになります。管理組合は通常、賠償責任保険などに加入しているので保険で賠償金が支払われますが、損害額算出にあたり、その評価(経年減価償却など)について争いになることもあります。
漏水の原因を自分で突き止めるのは、容易なことではありません。漏水を起こしたほかの部屋の漏水原因の証拠を保全する、または水道管や排水管などマンションの設備の問題の原因調査を個人で行うことは困難です。責任の所在は漏水発生箇所や漏水の原因によって異なりますので、漏水が見つかった場合、直ちに管理会社や加入している保険会社に問い合わせ、専門家により事故原因を特定することと、自身の部屋の被害状況について写真や動画で保存をしておくことが重要です。
アジアンタム法律事務所 弁護士高橋辰三
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