- 日替わりコラム
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12/6
2021
2015年、自社店舗用に製造した冷凍ビーフカツ(半製品)に異物混入の疑いがあったため、製造会社が出荷前の製品を廃棄処理しました。しかし、この製品が市場に出回るという事件がありました。
製造会社系列の従業員がスーパーで買い物中に、販売されるはずのない自社製品を発見しました。会社が廃棄委託処理した製品が、産業廃棄物処理業者から食品卸業者を通じてスーパーに転売されていたのです。
一旦、廃棄物として扱われた食品が市場に流通するということは、食品の温度管理や保存方法などの不適切な取扱いによる危険だけでなく、市販食品に対する消費者の不安を招く極めて深刻な事件でした。現在、食品ロスの削減が社会的に大きな課題となっていますが、どのような状況でも消費者が口にする食品の安全性が疎かになることは許されません。
この事件の後、廃棄物処理法※1 によるマニフェスト※2 の適正運用、食品リサイクル法※3 による食用と誤認されないための措置などが示されました。本年6月1日施行の食品衛生法では、廃棄物の適切な取扱いに加え、食品などの自主回収(リコール)を行った事業者はリコール情報を速やかに保健所に届け出ることも義務化されました。衛生管理計画において、万が一、自社製品回収の必要が生じた際の消費者への注意喚起や回収・保管・廃棄などの具体的な実施体制を整えておく必要があります。
※ 1 廃棄物の処理及び清掃に関する法律
※ 2 産業廃棄物管理票
※ 3 食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律
公益社団法人 日本食品衛生協会 技術参与・一般社団法人 関東学校給食サービス協会 顧問谷口力夫
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