- 日替わりコラム
Wed
12/15
2021
米国医師会のオンライン誌※ は、心の内を吐き出したいときに話を聞いてくれる人がいると、認知的レジリエンス(認知能力の維持・回復)に役立つという研究内容を報じています。今回の研究では、成人2171人に「サポーティブ・リスニング」、「アドバイス」、「愛情」、「感情的サポート」、「十分な接触」の5つの社会的交流と、MRI(磁気共鳴映像法)を使い測定した結果、サポーティブ・リスニングをよく受けている被験者は、認知的レジリエンスが高いことが判明しました。サポーティブ・リスニングとは、人が話したいときに思いやりを持って耳を傾けることです。話を聞くだけで、助言はあまりしません。
大切なのは、聞き手があれこれ考えず、相手の言うことをすべて受け入れることです。一般的に人は相手から助言を求めますが、ただ聞いてほしいだけというときもあります。愚痴を言いたいけれど、言ったら叱られると思うと内に秘めてしまいます。否定せずになんでも聞いてくれる人がいれば気持ちよく話せますし、気分よく話すということが認知機能の維持につながるのです。認知症の人は、「ダメ」などの否定的な言葉には反発を感じるだけで、怒りや悲しみしか生まれません。どうしても助言をしたい場合には、肯定的な言葉を使いましょう。「ありがとう」は何度使ってもよいですし、褒めることも効果的です。
※ 『JAMA ネットワーク・オープン』
介護問題研究家中村和彦
全部または一部を無断で複写複製することは、著作権法上での例外を除き、禁じられています
- アクセス