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2021

誌上でめぐる世界の恐竜化石(3)ウズベキスタン

 ウズベキスタンは、ユーラシア大陸の真ん中にあります。今から約9000万年前の白亜紀後期、アジアとヨーロッパは浅い海で隔てられていて、ウズベキスタンのあたりがアジア大陸の西端だったようです。
 筑波大学の田中康平博士らは2021年9月、ウズベキスタンの新種の肉食恐竜を「ウルグベグサウルス」と命名しました。ウルグ・ベグは、15世紀のティムール王朝の君主で数学者・天文学者だったそうです。
 化石は長さ24cmぐらいの上顎の一部で、カルカロドントサウルス類に分類され、全長は8mと推定されました。カルカロドントサウルス類では南米最大級の肉食恐竜ギガノトサウルス(推定全長13m)などが有名です。白亜紀後期の北半球ではティラノサウルス類が、南半球ではカルカロドントサウルス類が食物連鎖の頂点にいました。北米でも、白亜紀前期(約1億2500万年前)の最大肉食恐竜は、カルカロドントサウルス類のアクロカントサウルスでした。白亜紀後期にアジア大陸からティラノサウルス類が渡ってきて、ティラノサウルスが食物連鎖の頂点になりました。今回、ウズベキスタンでは9000万年前までは、カルカロドントサウルス類がティラノサウルス類よりも優勢だったことがわかりました。もっと化石が見つかると、北半球でティラノサウルス類がどのように頂点に登っていったのかを明らかにできるかもしれません。

独立行政法人 国立科学博物館 副館長・研究調整役真鍋真

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