- 日替わりコラム
Fri
3/4
2022
3年前の3月に、福岡市美術館は40年ぶりにリニューアルしました。都会のオアシスとして市民や観光客で賑わう大濠(おおほり)公園の傍(かたわ)らにあります。かつての福岡城の外濠(そとぼり)である大きな池に面するミュージアムカフェも、大濠公園や美術館と同じように多くのファンに愛され続けています。
美術館は常滑焼(とこなめやき)タイルの茶色の建物で、歴史と自然豊かな大濠公園に溶け込みながらも存在感のある優雅な佇(たたず)まいです。1階のカフェの大きなガラス窓からは趣のある艶の壁、鮮やかな色彩が風と調和する彫刻、光る池の水面、飛び立つ鳥たち、遠くの樹々、池を周回するランナーたち、散歩を楽しむ人々などが1枚の絵のように映り、流れるシャンソンに包まれ、人気スイーツ「大濠シュー」とともに美術鑑賞の心地よい余韻に浸ることができます。福岡市民の私には、お気に入りの場所です。
マスコミと館で主催する大規模な特別展の際にはこのカフェも大変混み合いますが、分野別のコレクション展や企画展だけが行われている期間は、穏やかな寛ぎ感のある静かな癒しの空間です。実は、これらの小規模な展覧会では重要文化財を含む珠玉の館蔵品が公開されることが多く、まさに感動の余韻にゆったりと浸れる場所となるのです。
時には、お近くの博物館や美術館で大規模な展覧会のない期間に、常設展や小規模企画展とミュージアムカフェをセットで訪れてみませんか。
放送大学 客員教授・九州国立博物館 名誉館員・一般財団法人 環境文化創造研究所 顧問本田光子
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