- 日替わりコラム
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8/30
2022
国際労働機関が今世紀の目標として掲げた「ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)」の実現のための最大の障壁は、職場のパワーハラスメントでしょう。「令和2年度個別労働紛争解決制度の施行状況」によると、民事上の個別労働紛争の相談内容のトップは「いじめ・嫌がらせ」の7万9190件で、2番目に多い「自己都合退職」の3万9498件を大きく上回っています。
国は、職場のパワーハラスメントを「優越的な関係に基づいて(優位性を背景に)行われ」、「業務の必要かつ適正な範囲を超えて」、「身体的若しくは精神的な苦痛を与える、又は就業環境を害すること」と定義しています。また、具体的な6類型を「身体的な攻撃」、「精神的な攻撃」、「人間関係からの切り離し」、「過大な要求」、「過小な要求」、「個の侵害」としています。このほかにも職場におけるセクシャルハラスメント、妊娠・出産へのハラスメント、育児休業に関するハラスメント等々が存在しています。いずれにせよ、ハラスメント問題はいつなんどき被害者になるか、加害者になってしまうかわかりません。
現在では、事業主、労働者に対し、防止義務、責務規定が定められています。その理解と関心を深めるために、専門家による社内研修会などを活用していくべきでしょう。
東京造形大学 造形学部デザイン学科 教授地主廣明
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