イカリホールディングス株式会社 よりそい、つよく、ささえる。/環文研(Kanbunken)

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9/2

2022

ちょっと気になる新技術(30)水害に備える「ボックスウォール」

 台風や水害が絶えない日本。近年はゲリラ豪雨で河川や側溝の水が溢れ、建物や工場の敷地にあっという間に浸水被害をもたらします。
 もっぱら砂利を詰めた土嚢(どのう)を積み上げて対処しているなか、最近注目を集めているのが、スウェーデン・ノアック社の可動式止水板「ボックスウォール(Boxwall)」です。PP樹脂製の1枚板を座椅子のようにL字状に形成し、女性1人で持てるほどの重さ(1ユニットは6.2kg)です。敷地や建物の入り口にスピーディーに設置でき、水圧に対抗して高さ50cmまでの浸水を堰き止めます。突出爪と受け溝によるジョイントをつなぐことで何枚でも連接が可能で、特別なスキルや工具も必要ありません。
 たとえば、10m幅の入り口ならば、2人で2分間もあれば設置でき、従来の土嚢を運搬し積み上げる作業に比べると、労力と時間がはるかに軽減されます。
 本製品が軽量という特性は、逆に考えると水流に押し流されてしまうのではないかと心配になりますが、かかる水の圧力により本体が地面に圧着されるため、アンカーなどを使わなくても浮くことも倒れることもなく固定され、止水される仕組みです。使わないときには、重ねてコンパクトに収容できます。

一般社団法人 発明学会 顧問平井工

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