- 日替わりコラム
Fri
9/9
2022
「金継ぎ」は、割れたり欠けたりした陶器や磁器などを漆で接着し、継ぎ目を金粉で装飾して仕上げる日本の伝統的な修復技法です。室町時代に茶道が普及し、茶器をこの技法で修復することで盛んになったといわれていますが、コロナ禍で自宅にいる時間が増えたことやSDGsへの関心の高まりから、「金継ぎ」がブームになっているようです。
「金継ぎ」の大まかな工程は、まず小麦粉に水を加えて練ったものに生漆を加えて作った麦漆(むぎうるし)で割れた器を接着します。そして、水練りした砥(と)の粉(こ)に生漆を混ぜた錆漆(さびうるし)で継ぎ目を埋めて平らにし、乾燥したら紙やすりなどで水研ぎして整えます。さらに、継ぎ目に漆を重ねて塗っていき、仕上げに金粉を撒き、装飾したら出来上がりです。
金継ぎ教室は全国に広がり、初心者向けに漆を使わない金継ぎキットも販売されています。利用者からは、「日本の伝統文化に触れることができる」、「よい気分転換になる」と好評で、その芸術性から海外の評価も高く、「KINTSUGI」として親しまれています。
欠けてしまったけれど思い入れがあって捨てるに捨てられない、そんな器を持っている人は多いのではないでしょうか。「金継ぎ」の技法を使えば、壊れた器が世界にひとつしかない自分だけの新しい器として生まれ変わるのです。
ライター東納英輔
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