- 日替わりコラム
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10/10
2022
食品への異物混入は、種類や原因もさまざまで対策が難しい問題です。
ある学校給食の米飯に虫や木片などの異物混入が相次ぎ、その原因は米飯の調理工程ではなく、学校内配膳室であることが指摘されました。米飯業者によって製造された容器入りの米飯は、学校に配送、納品された後、配膳室の棚に一時保管されますが、この間に容器と蓋の隙間などから虫や異物が混入したものと考えられました。
この配膳室の状態を調べると、ドアや天井には未補修の破損箇所が複数あり、壁はもろいベニヤ板製で、部屋全体も老朽化が進んでいました。さらに、室内の米飯保管棚の隣には掃除用具が雑然と置かれており、食品を扱う施設・設備としての衛生管理も好ましくない状態でした。
異物混入をはじめとした食品事故を防ぐためには、食材、製造、流通、保管、配膳、提供など各工程における食品の衛生的な取扱いはもちろんですが、同様に各工程にかかわる施設環境の整備も重要です。
施設や設備に不備がある現場では、調理従事者が本来の調理作業以外の事柄にも多くの注意を払うことが求められます。調理従事者への余分な負担を軽減するためにも、施設管理の責任者は日頃から施設の状態を把握し、必要な場合には予算措置をするなどして計画的に施設環境の整備・改善を行わなければなりません。
公益社団法人 日本食品衛生協会 技術参与・一般社団法人 関東学校給食サービス協会 顧問谷口力夫
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