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10/11
2022
「犬の性格は犬種と無関係」という米国研究チームによる結果が、今年の6月15日、読売新聞夕刊に紹介されました。1万8000頭の犬の飼い主からの聞き取り調査に基づくもので、性格の違いについて「犬種の違いで説明できるのは全体の9%程度で、育った環境などによる個体差が大きい」と結論づけています。この結果は、これまで数十冊の著書で犬種の性格を紹介してきた私にとって衝撃的なものでした。
しかし考えてみると、人間形成においても「氏より育ち」、すなわち「家柄よりも教育や環境のほうが重要だ」と言われてきました。慶応義塾大学の安藤寿康教授は、人の性格を示す理論であるビッグ・ファイブセオリーを用いて遺伝子の影響を調べた結果、外向性46%、神経症傾向46%、誠実性52%、調和性36%、開放性52%で、人の性格に対する遺伝子の関与は全体の半分(約50%)であるとの結論を得ています。つまり残りの半分は、やはり教育など、育つ環境によるものなのです。
一方、外見の特徴である体の大きさや耳の形については、約80%が犬種の違いで説明できたと米国研究チームは報告しています。犬の性格については、あまり外見にとらわれることなく個性を伸ばすようにしたいと思います。
一般財団法人 環境文化創造研究所 名誉所長林良博
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