- 日替わりコラム
Tue
10/18
2022
満足している犬は、吠えません。吠える必要がないからです。犬が吠えるのは何か目的があるか、不安や恐怖のために意識せずに声が出てしまうときです。
犬が吠える目的は、さまざまです。飼い主に食事やおやつをねだるため、またテリトリーに侵入する犬や人、大きな音をさせて近づく自動車やバイクへの警告のために吠えることもあります。この警告の声は、仲間に警戒を促すための声でもあります。消防車などのサイレンやピアノなど楽器の音に刺激されて、遠吠えする犬もいます。呼応しているのでしょうか、遠くの仲間へ呼びかけているのでしょうか。
飼い主が犬の声の意味がわかると思うのは、声を発する原因や背景がある程度わかっているからです。ボディランゲージを見ている場合もあるでしょう。犬は目的を達成すると静かになりますので、原因を推測することもできます。
一方、不安や恐怖のために出している声は、正常な意識のもとに出ている声とは思えません。独りになったときの不安(分離不安症)で哭(な)く声、雷や花火への恐怖症のために哭く声は、犬の意識が錯乱しているときの声です。認知症による「夜哭き」も、似たような哭き声です。意識が錯乱していますので、飼い主が制止しても静かにはなりません。
井本動物病院 院長井本史夫
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