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2022

食品にまつわるトラブルから学ぶ(45)化粧品と食物アレルギー

 ある化粧品メーカーは、製品のスプレーが原因で食物(卵)アレルギーの子どもに健康被害が確認されたとして、100万本以上の自主回収を行いました。スプレーを使用した複数の子どもが、じんましんや呼吸困難などのアレルギー症状を起こしたための判断でした。
 本事例は、化粧品のスプレー成分に卵白由来成分のリゾチーム※1 が含まれていたため、使用時にその一部を吸い込んだ子どもが卵と同様の食物アレルギー症状を起こしたという意外性のある原因によるものでした。この製品には、「卵アレルギーの人は使用を控えるように」との注意書きがありましたが、微量でも健康被害を起こす食物アレルギー物質の取扱いはなかなか厄介です。
 消費者庁による食物アレルギー全国調査の最新結果※2 では、木の実類による発生数が増加し、特にくるみによるアレルギーは鶏卵、牛乳、小麦に次いで4番目に多くなっていました。この結果を受けて、消費者庁はアレルギー食品表示における「くるみ」の表示を、現在の推奨から義務に変更する方針を明らかにしています。
 食物アレルギーは、特に小さな子どもの感受性が高く、微量でも発症して重篤化する危険性もあるため、製品の製造工程や使用方法も含めた細心の注意が求められます。

※1 使用基準の定めのない食品添加物(既存添加物)として、保存性向上の目的で使用される
※2 令和3年度「食物アレルギーに関連する食品表示に関する調査研究事業報告書」消費者庁

公益社団法人 日本食品衛生協会 技術参与・一般社団法人 関東学校給食サービス協会 顧問谷口力夫

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