- 日替わりコラム
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12/27
2022
日本に生息しているコウモリ類で問題となるのは、イエコウモリ(アブラコウモリ)とヒナコウモリといわれています。公益社団法人日本ペストコントロール協会に寄せられた相談件数は2016年は616件でしたが、2020年には2240件と3.6倍に増加しました。
小型の食虫性のコウモリ類は冬眠するため、夏季に増加する傾向がみられます。冬眠は餌の少なくなる冬季に体温を下げ、巣に閉じこもることでエネルギーの消耗を防ぐ生き残り戦略のひとつです。逆に夏眠といって、暑い時期や乾燥期に活動を停止する動物もいます。
コウモリ類は飛翔性の昆虫をよく食べてくれるので益獣ともいえますが、一方で家屋の壁のすき間に集団で入り込み、糞尿の汚染や悪臭、騒音の問題を引き起こします。また、鳥獣保護管理法の対象となっており、家屋への侵入を認めた場合でも環境省や自治体の許可なく捕獲することはできないため注意が必要です。都道府県別の相談件数では最上位は埼玉県で、兵庫県、神奈川県、大阪府、東京都、愛知県と主要都市を含む都府県が上位を占めています。
特にイエコウモリは、家の構造(たとえばシャッター窓の増加)および河川の浄化に伴い餌となる水生昆虫類が増えたことによって、今後、相談件数が増加する可能性が高いと考えられています。
イカリ消毒株式会社 取締役・一般財団法人 環境文化創造研究所 評議員谷川力
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