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2023
人と同じように、犬も歳をとると記憶力や認知能力が低下します。犬の認知機能障害(CCD)といわれるような状態になると、睡眠パターンの乱れや空間認識能力の低下などの症状が現れるようになります。米ワシントン大学家庭医療学部の疫学者サラ・ヤーボロー氏は、犬の飼い主1万5000人以上から、年齢、犬種、活動レベルなどさまざまなデータを収集し、CCDとイヌの基本的な特性との関連を詳しく調べました。そして2022年8月、学術誌『Scientific Reports』にその研究論文が掲載されました。
研究の結果、犬がCCDになる確率は1年ごとに1.52倍ずつ上昇していくことがわかりました。健康状態や犬種、活動レベルなどが同じであれば、1年早く生まれた犬のほうがCCDになるリスクは52%高くなるとのことです。さらに、飼い主が「活動的ではない」という犬は、CCDを発症している割合が6.47倍高かったようです。ヤーボロー氏によると、人が加齢によってかかる病気の多くは犬もかかり、飼い主がCCDという病気を知っているだけで、早めに気づいて早期治療が可能となります。また、ニューヨーク市で動物行動診療を行っているアンドレア・Y・トゥー氏は、「CCDの研究は、人間のアルツハイマー病を研究する上でのモデルになるはずだ」と述べています。
介護福祉士中村和彦
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