- 日替わりコラム
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3/6
2023
平成2年の日本における水道普及率は約98%であり、水道の蛇口をひねればきれいな水が利用できることはごく普通のことになっています。しかし、水が衛生的に安全でない場合には、さまざまな病気を引き起こす危険性があるため、食品を扱う施設で使用する水は水道水または飲用に適する水であることが規定されています。
開校したばかりの学校の水道水に異物が混入し、一時的に給水を停止するという事例がありました。その後の調査で、異物は砂や配管の塗布物、鉄さびなどで、学校建設の際に新設した水道管が原因であることが判明しました。施設の本稼働前の確認不足によるものと考えられました。
ある病院では、乳児用ミルクに使用された水に高濃度の窒素化合物が含まれていたために、ミルクを飲んだ乳児がメトヘモグロビン血症※ を発症しました。原水の井戸水自体に、異常は認められませんでした。しかし、同じ井戸水を利用する上水道と空調水の分岐点に設けられた逆流防止弁が老朽化していたために、窒素化合物を含む配管防食剤が使用されていた空調水が逆流して上水道に混入したことによる事故でした。
衛生的に製造された水でも、使用施設の蛇口までの配管過程が原因となる事故もあります。使用水による思いがけない事故を防ぐためには、残留塩素濃度や目視による日々の確認検査は欠かすことができません。
※ 赤血球による酸素結合・運搬能力が失われた状態
公益社団法人 日本食品衛生協会 技術参与・一般社団法人 関東学校給食サービス協会 顧問谷口力夫
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