- 日替わりコラム
Wed
3/22
2023
私の散歩コースは、近くの川の堤防と河川敷です。愛犬まりもと一緒に、毎日6km歩きます。橋を巡りながら両岸を歩くので2~10kmに拡大・縮小することも可能です。このコース、堤防を挟んで田園と河川敷が連なり、立山連峰を眺望できるのが昔からの変わらぬ風景です。
変わったこともあります。堤防を横切るけもの道が増えたことです。人の通り道かと思うほどの立派なけもの道が随所にあります。昔は、ウサギとイタチしかいない河原でした。今はウサギの姿は消え、タヌキ、キツネ、ハクビシン、イタチ、テンが定住しています。
私は30代の頃から20年間、野生タヌキの調査をしていました。なわばりを持たないタヌキの生き方に、興味を持ったからです。毎夕、動物園の仕事を終えるとフィールドに出かけ、彼らの足跡を追い、行動を記録しました。北陸に生息する陸生哺乳類の足跡や生態も調べました。そのため、けものが歩いた跡は、今でもすぐにわかります。
面白いことに、タヌキもキツネも種を越えて同じ道を使います。また、道は世代を超えて引き継がれます。だからメインルートは立派になっていくのです。タヌキの平均寿命は数年ですが、昔のフィールドに行ってみると、20年前のタヌキ道は今でも受け継がれていました。雪が積もれば、けもの道の全貌が浮かび上がります。それも楽しみのひとつです。
富山市ファミリーパーク 名誉園長・元日本動物園水族館協会 会長山本茂行
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