- 日替わりコラム
Fri
10/20
2023
ここ数年、秋の食卓の代名詞である秋刀魚(さんま)が不漁となっていますが、代わりに真鰯の漁獲が増えています。これには、ひとつ魚種が減ることでその分が鰯の餌になった、鰯が現在の水温に適していた、などの理由が考えられますが、どうやら今は秋刀魚より真鰯を積極的に食べる時期のようです。
鰯を家庭で処理するのは大変ですが、個人で営む魚屋は、いわゆる”魚屋トーク“で、訪れたお客さんに店頭に並ぶ魚のお勧めの調理法や食べ方を提案し、購入意欲をかき立てます。大げさに言えば、資源と消費のバランスをとっているということになりますが、近年そうした魚屋も少なくなりました。
秋刀魚は「無胃魚」という胃がない魚で、食べた餌をすぐに消化吸収して排泄するため、内臓までおいしく食べられるのですが、実は真鰯も無胃魚です。鰯の丸干しが内臓ごと食べられるのはそのためです。鮮度が良いものは、丸ごと煮魚や焼魚として調理できます。腹部が切れて内臓が見えているものや肛門から茶色い汁が出ているものは、鮮度が落ちているので避けましょう。エラには細菌が多く付着していてにおいが出やすいため、よく洗ってください。太身でぽっちゃりしているものが脂の乗りが良くておいしいです。安価な豊漁の魚を上手に利用しましょう。
古田 優
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