イカリホールディングス株式会社 よりそい、つよく、ささえる。/環文研(Kanbunken)

COLUMN

- コラム

「月刊クリンネス」に掲載された
過去の連載コラムの中から、
テーマ別に選りすぐりの記事をご紹介します。
(執筆者や本文の情報は執筆時のものです)

食品工場の「やってはいけない」(2)

イカリ消毒株式会社

手洗い

 「食品工場での仕事は、手洗いに始まり、手洗いに終わる」とよく言われるほど、手洗いは食品衛生上、最も重要な行為のひとつです。
 「手洗い」という行為自体は、家庭など食品工場以外のところでも行いますよね?しかし、食品工場での手洗いには、製造している食品に悪影響を出さないように、「やってはいけない」ことがあります。
●流水だけで手を洗ってはいけません
石けんを使わずに洗うと逆に手のシワにいた雑菌が浮かび上がり、よけい「汚れた状態」に!
●爪の間まで洗うことを忘れてはいけません
爪の間は雑菌にとって絶好のすみかです!爪ブラシなどを使って丁寧に洗いましょう。
●すすぎ後の乾燥を怠ってはいけません
濡れた手は雑菌がつきやすく、また殺菌剤の効力を低下させてしまいます。ペーパータオルなどでしっかり乾燥させましょう。
●最後に殺菌を怠ってはいけません
食品工場での手洗いは、殺菌まで行うことが必要です。手洗いだけでは落とせていない雑菌をアルコールなどでやっつけましょう。
 日常の手洗いと食品工場での手洗いの違いを理解し、実践しましょう。
(2011年7月号掲載)

作業中の着衣・着帽

 食品工場では、きれいな作業服や帽子を決められた通りに着衣・着帽しなくてはいけません。しかし、いくらしっかり着衣・着帽しても、作業中に作業服が汚れるとバイ菌が食品に付着してしまうかもしれません。作業服がほつれたり、帽子と顔の間に隙間ができたりすると糸くずや髪の毛が落ちて、食品に入る危険性があります。そのため、作業中の着衣・着帽についての注意事項があります。
●破損した作業服、汚れた作業服のまま製造を行ってはいけません。破れたり汚れたりしたら、綺麗なものと交換しましょう(破れやほつれは異物の原因に、汚れはバイ菌の汚染原因になります)。
●作業服の胸元を開けたり、帽子の首元を緩めたり、帽子と顔の間に隙間ができたりしたまま、作業を続けてはいけません。決められた通り着衣・着帽しましょう(毛髪や体毛が落下して異物になります)。
●ラインや、覆いがされていない製品の近くで、帽子のずれや作業服を直してはいけません。離れた場所で直しましょう(ラインに近いと毛髪などが落下して混入する危険性が高くなります)。
 工場では皆さんが異物混入やバイ菌の汚染原因にならないように、作業服・帽子とその着用方法が決められています。しっかりとルールを守って衛生的な食品を作るようにしましょう。
(2011年9月号掲載)

清掃・洗浄

 清掃・洗浄は、食品にバイ菌や異物が付着しないようにするための非常に重要な作業です。清掃・洗浄を失敗すると、バイ菌や汚れの除去不良、使用する洗剤や殺菌剤などの残留などが起こります。食品工場で働く人は、清掃・洗浄での多くの注意事項をよく知っておく必要があります。注意事項の一例を以下に記します。
●決められた手順(使用薬剤、使用器具、希釈倍率、清掃・洗浄の順番など)を破ってはいけません。微生物の除去不良や洗剤の残留が起こり、それらが食品を汚染します。他の食品の食材や添加物が混ざることを防止するために、道具を使い分けるのも良い方法です。
●破損したり汚れている清掃用具を使用してはいけません。清掃・洗浄する行為自体が、食品を汚染する原因になります。
●清掃用具の保管場所が汚れていてはいけません。せっかくきれいにした清掃用具が汚れます。
●洗浄前と洗浄後のものを、一緒に保管してはいけません。せっかくきれいにしたものに汚れが付着します。
 上記の内容は、清掃・洗浄作業で食品に問題を引き起こさないために非常に重要です。清掃・洗浄は重要な作業だという意識を持って、作業にあたりましょう。
(2011年11月号掲載)

施設・設備の管理

 食品を製造するうえで、施設や設備を「正常な状態」に保つことは非常に重要です。製造機械が壊れて動かなければ食品の製造ができなくなるということもその理由ですが、衛生管理の面からも重要です。何に注意するべきか、「やってはいけない」ことを確認してみましょう。
●機械の破損や塗装のめくれを、放置してはいけません。多少の破損やめくれでも、異物混入の原因になるかもしれません。
●「ネジ抜け」を放置してはいけません。工場の施設・設備にはたくさんのネジやボルトを使用しています。緩んで抜ける可能性がありますので、しっかりと確認しなければなりません。
●補修にガムテープや針金などを使用してはいけません。仮補修に「破損しやすいもの」を使用すると、それ自体が異物混入の原因になる危険性があります。
●機械の不調の報告を怠ってはいけません。製造中に異音などの変調を感じたら、すぐに上長に報告しましょう。
●始業前・終業時の点検を怠ってはいけません。製造を始める前と製造を終了したときには、必ず製造機械などに異常がないかを確認しましょう。
 施設・設備管理の基本は、異常がないか確認をすることと、異常を認めたら速やかに直すことです。
(2012年1月号掲載)

防虫・防鼠

 食品工場に虫が生息していると食品に混入する危険性が高まります。ネズミが生息していると微生物汚染の原因になったり、糞や毛が異物になる危険性が高まります。このような危険から食品を守るために、現場の従事者にできる防虫・防鼠対策の一例を見てみましょう。
●ドアやシャッターを、開けっ放しにしてはいけません。ネズミや虫が工場内に侵入してきます。
●工場外にゴミを放置してはいけません。ネズミや虫がゴミのにおいなどに誘われて、工場に寄ってきてしまいます。決められたゴミ置き場に捨てましょう。
●捕虫器のランプを消してはいけません。常に虫を捕えられるように、ランプは点灯しておきましょう。
●工場内の汚れを放置してはいけません。ネズミや虫の餌になり、工場内で繁殖してしまいます。
●壁や天井、シャッターの下などの隙間をそのままにしてはいけません。虫は1mm以下、ネズミは小指程度の大きさの穴でも侵入します。
 防虫・防鼠対策のためには、現場で働いている従事者の協力が重要です。もし工場内で虫やネズミを発見したら、すぐに上司に報告して対策を立てましょう。
(2012年3月号掲載)

管理者の心得

 食品衛生管理を工場の中で進めていくにあたり、「管理者」の役割は非常に重要です。管理者の考え方や態度、言動によって、衛生活動の成果は大きく変わってくるといっても過言ではありません。管理者の心得として注意すべきことを確認してみましょう。
●現場をよく見ずにルールを作ってはいけません。清掃洗浄など、食品衛生のためのルールやマニュアルを作るときには、現場の状況をよく確認してからでなければいけません。実施することが困難なルールを作っても何の意味もありません。
●教えたつもりになってはいけません。従事者を教育するときには、さまざまな工夫が必要です。理解してもらうための努力を惜しんではいけません。教えた後は、理解したかどうかをアンケートや現場点検を通じて確認しましょう。
●現場点検・確認を怠ってはいけません。問題やその予兆がないかどうかを定期的に確認しましょう。仮にルール違反を見つけても叱責するのはもっての外!「なぜできないのか?」をよく聞きましょう。
 従事者は管理者の行動をよく見ています。ルール違反をしている管理者の言うことを、素直に聞く従事者はいません。従事者の「模範」となるべく振舞うことが管理者として最も重要なことです。
(2012年5月号掲載)

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