- 日替わりコラム
Tue
3/26
2024
現在は「トキ消費」の時代である、といわれることがあります。
これは、高度成長期の「モノ消費」の時代、バブル期以降の「コト消費」の時代に対して、現在は「トキ消費」の時代であるという考え方です。モノ消費の時代は、他者との差別化のためにより多機能であったり、変わった形状のモノを持ったりすることに喜びを感じていました。コト消費の時代には、他者がやらないコト、変わったコトをやることが重要視されていました。そして、トキ消費である現在は、他者との差別化というよりは、そのトキそのトキで、他者とアクティビティを自主的に共有し、共感することで喜びを感じる時代であるというわけです。
トキ消費の時代は、リモートワークが定着して、場所と時間が自由選択となったオフィスの世界でも同様なことが起こっています。これまで、ワーカーは場所と時間に縛られ、決まったモノ(働く場所や機器備品)を与えられ、決まったコト(働き方)に従ってきました。しかしながら、ワーカーは自主的にモノやコトを選択でき、多くの人と共有できるようになったのです。
ただし、以上の話はワーカーの自律化が前提となります。単に企業などに所属するワーカーではなく、自己管理できるワーカーになることが求められるのです。
東京造形大学 造形学部デザイン学科 教授地主廣明
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