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2024

補助動詞の書き方

 文章を書くときに、漢字を使うのかそれとも仮名にするのか迷う語があります。そのひとつが「補助動詞」などと呼ばれるものです。
 公用文の作成にあたっては、たとえば「その書類を下さい」、「すてきなプレゼントを頂きました」というときには、「下さい」、「頂く」と漢字を使います。これらは、「下さい」、「頂く」という動詞が、実際の行為や動作を表しており、一般的な動詞の使い方になります。
 一方、「もっと大きな声で言ってください」、「ゴミは各自で処分していただきます」といった場合の「ください」、「いただく」は、別の動詞に意味を付け加える役割をする「補助動詞」で、これらには仮名を使います。「言って」という動詞に尊敬の意味を加えるために「ください」、「処分して」に謙譲の意味を加えるために「いただく」が使われています。ほかにも「進んでいく(行く)」、「寒くなってくる(来る)」、「手伝ってあげる(上げる)」といった例があります。
 これは日本語の絶対的なルールではなく、すべて漢字で書いても、あるいは仮名で書いても誤りではありません。あくまでも公用文における考え方ではありますが、新聞などでも本動詞は漢字、補助動詞は仮名で書くという習慣が定着しています。そうすることで、使う漢字を減らし文書を読みやすくしたり、用法の違いを示したりすることができます。

文化庁国語課 主任国語調査官武田康宏

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