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7/9
2024
京都市の北東部、比叡山の麓に位置し宮内庁が管理する「修学院離宮」は、1656年から1659年の3年間に後水尾(ごみずのお)上皇により造営された山荘です。離宮とは、皇居・御所とは別に設けられた宮殿で、京都には桂離宮もあります。修学院離宮は、高低差のある下離宮、中離宮、上離宮の3つのエリアに分かれ、松林の小道で結ばれています。広大な敷地内には現在も耕作されている畑や水田が広がり、田園風景を楽しむこともできます。それぞれの離宮には茶屋などの建物が現存していますが、ほとんどは1824年に再建された建物です。上離宮は標高150mの高台にあり、眼下には人工の池など修学院離宮の全景を眺望できるとともに、京都御所をはじめ京都市内が一望できます。
離宮が造営された17世紀中頃は、豊臣家との大坂の陣や島原・天草の一揆などを乗り越え、幕藩体制も安定期に入ったとはいえ、造営には徳川幕府の多大な支援があったと思います。後水尾上皇と徳川幕府との関係など時代背景も考えながら見学するのも良いですね。
見学には予約が必要で、3か月前の1日から宮内庁のホームページ、もしくはハガキでも申し込めます。新緑の季節や秋の紅葉シーズンは抽選となりなかなか見学が難しい施設ですが、皇室文化を身近に感じることができ、寺社とは違った雰囲気を味わうことができます。
鈴木達夫
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