- 日替わりコラム
Fri
7/26
2024
寝たきり患者特有の症状に、手や足の関節が曲がったまま固まる「拘縮(こうしゅく)」があります。患者の身体にたくさんのクッションを挟むのは、拘縮の予防や対策のためです。クッションは頻繁に変えないと、汗や臭いで不衛生ですし、身体に熱がこもる「こもり熱」も発症します。かといってクッションは、綿材やウレタンであるために洗濯しにくく、介護者泣かせです。
8年間自宅で実母を介護している仲井康子さんは、いろいろな材料でクッションを手作りし、試作は50以上。その中で適材だったのは、20数万円もする高級ベッドの芯材に利用される極細繊維の網体でした。弾力性があり、洗濯も可能です。
発明展示会で仲井さんの数々の試作品を見て意気投合した光和ネットサービス株式会社は共同開発に取り組み、ようやく1~2万円の価格で販売できる介護クッション「熱・こもらーず」を開発しました。
極細繊維の網体は90%が空気でクッション性がよく、汚れも臭いもシャワーで洗い流すことができ、すぐ乾きます。円筒状にしたのが工夫のしどころです。円筒の内部に夏は保冷剤を入れて涼しく、冬は携帯カイロを入れて暖かくできます。仲井さんの介護の執念が実ったといえます。昨年夏に発売されました。
一般社団法人 発明学会 顧問平井工
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