- 日替わりコラム
Mon
8/19
2024
ギョウチュウは動物に寄生する線虫の仲間です。ヒトには、盲腸にヒトギョウチュウという種が寄生します。かつて学校などで粘着テープをお尻に貼る検査が行われていたためか、本種の知名度はとても高いです。現在の日本では、ヒトギョウチュウを見かけることは少なくなりましたが、野生動物ではさまざまな種類のギョウチュウがみられます。
ギョウチュウは、ウマ、ネズミ、トカゲ、昆虫などさまざまな動物でみられますが、変わったところでは、オタマジャクシにギリニコーラ(Gyrinicola)というギョウチュウの仲間が寄生します。ギリニコーラは、オタマジャクシが餌と一緒に水底に沈んだ虫卵を食べることで寄生が成立します。その後、消化管内で大人になって繁殖しますが、意外なことに本種は大人のカエルには寄生できません。オタマジャクシが成長するにつれて、どんどん脱落して死んでしまいます。
ギョウチュウの仲間は、進化の過程でさまざまな宿主に侵入し、多くの種に分かれてきました。一方で、仲間内には共通の特徴も見られます。たとえば、ギョウチュウはどの種でも、雌の尾は針のように細長くなっています。また、受精卵から雌が、未受精卵から雄が誕生するという変わった性決定様式が共通してみられます。
ギョウチュウの奥深さを感じていただけましたら幸いです。
公益財団法人 目黒寄生虫館 研究員佐田直也
全部または一部を無断で複写複製することは、著作権法上での例外を除き、禁じられています
- アクセス