ストレス社会を心穏やかに生きる(119)観方(みかた)変(へん)ずれば、事象(じしょう)転(てん)ず

　私は、毎朝、日めくり暦(カレンダー)を捲り、新聞を読んでから、出寺奉仕いたしますが、昨今、世間では、ペーパーレス化やデジタル化が進み、パソコンやスマートフォン等でも日時を確認することができるばかりでなく、スケジュール管理もでき、いつ何時でも、記事の閲覧もできるため、態々、暦や新聞を取る御宅が、かなり減ったと聞きます。
　「暦を捲るということは、天光地陰を動かすということ。新聞に目を通すということは、世界を読み、宇宙に心を広げるということ。それは、観世音(観自在)菩薩の如(ごと)、あらゆる命に眼差しを向け、心で命を包むということ。どんなに私(わたくし)が平穏な日であろうとも、世界のどこかしこでは、戦争乱や天変地異によって苦しんでいる命があることを忘れてはならぬ。私には関係無きことと、無関心であってはならぬ。まずは暦を捲り、新聞を読むことから一日を始めなさい。そして、玄関(全宇宙の扉)を開き、出入りの際には、履物(すべての事象)をそろえることを怠るな。一日の【本当(ほんとう)の平穏】は、その祈りによって保たれる。」
　かつて、師から、このようなことを教わりました。現在、私たちは、人差し指一本で、簡単にスクロール(巻く・移動)できる、便利な世の中におりますが、命の上では、平面的でなく、優しさや、慈しみという立体的な心や祈りをもって、毎日を大切に生きたいと思います。

合掌

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