- 日替わりコラム
Wed
9/25
2024
「そういう感じになったんだ」とあきれ顔でこちらを見ている友人。キラキラOLだった私が、知人のいない土地に嫁ぎ、何かに駆り立てられるように自ら野良仕事している変貌ぶりに、言葉がないご様子。
初めて借りた畑は小川の横にあり、元は田んぼで水はけが悪く、重い土でした。母から指南を受けて、野菜の育つ土をつくるために、畑の片隅に穴を掘って台所から持ってきた生ごみを恐る恐る埋めていきました。その頃は堆肥という観念はなく、「埋めたらそのうち溶けてなくなっていくんだ」という印象でした。そのうち、土がほかのところよりも柔らかくなり、野菜にとってとても良いことなのではないかという予感がしました。隣の畑のおじいちゃんのタネの播き方や畝うねの立て方などを見よう見まねでやっていると、教えてくれるようになりました。「農家さんの知恵はすごい!」当時はまだスマホもない時代で、教えてくれる人の情報は絶対的なものでした。朝が苦手な私が、「芽は出たかな」とパッと起き上がれるようになりました。
社会人を経て世の中を知った気になっていた私に、思い通りに育たない野菜たちが、自分で育てる野菜のおいしさや土の中で起こる謎があることを日々教えてくれました。このニューワールドにときめきを感じて、どんどんのめり込んでいったのです。
ローカルフードサイクリング株式会社 代表たいら由以子
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