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Wed

11/13

2024

高脂肪食が昆虫の健康に及ぼす影響

 高脂肪食(脂質50%以上)は、人では心臓病や動脈硬化を高める要因となり、食べ過ぎると肥満になります。また、栄養バランスを崩し、肝臓の負担を増やす原因となることが知られています。戦後、食の欧米化にともなって、日本人の健康にも影響がみられるようです。その高脂肪食が昆虫の健康にどのような影響を与えるのかについて調べた最近の研究※ をご紹介します。
 ショウジョウバエの成虫に、通常食(酵母と砂糖)を与えると平均寿命は33日でしたが、ココナッツ油を加えた高脂肪食(30%脂肪)を与えたものでは28日となり、高脂肪食が寿命を短縮しました。ハエは加齢に応じて壁などを登る運動能力が衰えます。この運動能力も高脂肪食のハエは通常食のものと比べ、顕著に劣ることがわかりました。これ以外にも、高脂肪食は卵生産を減少させ、記憶や嗅覚の衰えを引き起こすことが知られています。ハエは老化とともに活動を止めて睡眠する時間が減ります。高脂肪食を与えたハエは、通常食のものと比べて睡眠時間は長くなりましたが、夜間の睡眠が断続的になり、睡眠の質が低下することがわかりました。不思議なことに、人での影響と異なり、この研究では高脂肪食のハエが肥満になったり、中性脂肪を多く蓄えるという結果は得られませんでした。

※ Liao S. et al. (2021)Insect Biochem. Mol. Biol.133(https://doi.org/10.1016/j.ibmb.2020.103495)

元農林水産省 蚕糸・昆虫農業技術研究所 研究室長田中誠二

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