- 日替わりコラム
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12/2
2024
セリグマン博士の提唱するウェルビーイングの5つの要素からは、「思いやり」、「仕事への集中」、「社会的なつながり」、「人から感謝されること」、「目標の達成」なども連想されます。日本で江戸時代に記された『養生訓』において、運動・栄養・休息といった「身体を整えること」に加え、「心を整えること」の大切さも説かれていた点が興味深いです。『養生訓』は、まさに個人レベルでの幸福学、すなわちウェルビーイングを追求するものだったといえるでしょう。その後、明治時代に「衛生」という政府主導の仕組みが導入され、飲食物の管理にも介入が行われたそうです。これは「不適切な状況を是正する」という急務に対応するためであったと考えられますが、それ以降の衛生行政においても、食品衛生は常に重要な課題とされてきました。現在では、HACCPに沿った衛生管理の実施がすべての食品事業者に求められています。
WHOが定義する食品衛生には、完全性や健全性といった広範な概念が含まれており、近年その重要性はますます広がっています。これからの日本における食品衛生は、さらに「ポジティブな方向性」へと進んでいくべきでしょう。
以上で本連載を終了します。これからも、食品衛生に取り組む皆様とともに前進していくことができれば幸いです。
リテールHACCP研究所山森純子
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