- 日替わりコラム
Thu
2/13
2025
現代のオフィス空間は、いろいろな意味で均一な環境を提供しています。たとえば照明環境や空調環境は、窓際と部屋の奥とでは環境条件が異なるので、「いかに均一にできるか」という視点で開発が進められてきました。しかしながら、多くの人が感じているように、照度も空調も人それぞれの好みがあります。
そのような中で、オランダの専門家が男女の代謝量を詳細に測定した結果、性別によりかなりの差があることがわかりました。それを受けて米国の空調学会が男女均一の温度設定は間違っていると報告し、世界的にも注目を集めました。同様に、オフィスビルに目を転じると、その環境は必ずしも均一ではないことがわかります。環境工学的(照度、空調温度など)には均一であっても、心理的には窓際は開放的であり、奥側は圧迫感があることは否めません。つまり、ワーカー自体、たとえば男女で不均一な空調環境へのニーズがあり、また、そもそも心理的な意味で不均一な空間であるオフィス環境を、むしろ「不均一な場」として捉え直そう、という考えが出始めています。
現在、インクルージョン(性別や国籍、障害の有無に関係なく、誰もがその価値が認められ活躍できる社会)を目指す企業が増えていますが、不均一な環境は、それを実現する1つのヒントなのかもしれません。
日本オフィス学会 副会長地主廣明
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