イカリホールディングス株式会社 よりそい、つよく、ささえる。/環文研(Kanbunken)

COLUMN

- コラム

「月刊クリンネス」に掲載された
過去の連載コラムの中から、
テーマ別に選りすぐりの記事をご紹介します。
(執筆者や本文の情報は執筆時のものです)

野菜を美味しく食べて健康に(3)

管理栄養士・野菜ソムリエプロ 篠原絵里佳

甘味も辛味も楽しめるネギ

 ネギが甘く美味しい季節になりました。ネギは主に東日本で栽培されている白ネギ(根深ネギ)と、主に西日本で栽培されている青ネギ(葉ネギ)の大きく2タイプに分かれます。
 白い部分を食す白ネギは、ネギ特有の香りがあり、生で食べると辛みを感じ、加熱するとトロッと柔らかくなり甘くなるのが特徴です。群馬県の下仁田(しもにた)ネギや、東京都の千住(せんじゅ)ネギなどがあります。青ネギは、白ネギに比べて細く、根元のほうで枝分かれしているのが特徴で、緑の葉先から白い部分までほとんど食べることができます。京都府の九条ネギや、福岡県の博多万能ネギなどがあります。
 ネギは、料理から薬味までさまざまな使い方ができます。白ネギを炒めものや鍋料理に利用する際は、大きめに切ることで、加熱したときに特有の甘みや食感が楽しめます。白ネギの葉(緑色の部分)は硬いため、肉や魚のにおい消しやスープの出汁に使用するのがお勧めです。青ネギは、小口切りにすると香りと風味を楽しむことができます。鍋料理や炒めものの際には、大きめに切って加えると甘みを味わうことができます。保存するときは、乾燥しないように新聞紙で包んで冷暗所に置いたり、さらにポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保存しましょう。カットした白ネギは、ラップでしっかり包んで冷蔵庫に保管しましょう。
(2024年1月号掲載)

ジャガイモを楽しんで1年を健康的に過ごそう

 ジャガイモは、収穫後に貯蔵して熟成させるのが一般的で、皮が厚く、コクや甘みが強いという特徴があります。いろいろな調理法があり、ほかの食材との相性も良く、幅広い年代で愛されているジャガイモ。栽培地や品種によって食感や味わいが異なり、カラフルで目で見て楽しめるものもあります。涼しい気候を好む野菜で、国内のさまざまな産地で収穫時期が異なるため、年間を通して美味しいジャガイモを楽しむことができます。
 季節を問わず食べられるジャガイモですが、旬は春と秋の2回訪れます。鹿児島県や長崎県などの温暖な土地では、冬に植えられたものが春に収穫されます。また、北海道を中心に夏に植えられるジャガイモは、秋に収穫されます。
 収穫後すぐに市場に出回る春のジャガイモ「新ジャガ」は、皮が薄くみずみずしいので、フライや揚げ煮など皮ごと味わうことができるメニューがお勧めです。水分が多く、調理中でも形が崩れにくいため、炒めものにも向いています。
 ジャガイモはビタミンCの宝庫で、「大地のりんご」とも呼ばれています。栄養価が高く、食卓を美味しく豊かにしてくれるジャガイモ。ぜひ、お気に入りのジャガイモを見つけてみてはいかがでしょうか。
(2024年3月号掲載)

春の香りクレソンで健康に

 ローストビーフやハンバーグ、ステーキなどの肉料理の付け合わせに添えられていることの多いクレソン。わさびの仲間で、「オランダ水がらし」とも呼ばれる特有の清々しい風味や辛味が、肉の脂っぽさを和らげてくれます。辛み成分のシニグリンには、食欲の増進や消化を促進する働きも期待できます。ビタミンB6が豊富に含まれ、肉や魚、卵、大豆製品に含まれるたんぱく質の利用効率を高めてくれます。糖質や脂質の代謝を促すビタミンB1やビタミンB2のほか、抗酸化作用のあるカロテン含有量は野菜の中ではトップクラスで、栄養価の高い野菜です。
 通年流通していますが、市場に出ているものの多くは栽培ものです。野生のものは河川敷や小川に群生しており、春(3~5月)がもっとも美味しい季節です。この時季のクレソンは色鮮やかで柔らかいのが特徴ですが、初夏になると茎は太くなり、固くなってしまいます。春に野生のクレソンを見かけたときは「買い」ですので、ぜひ旬の美味しさを味わってみてください。和えものや炒めもの、スープなど、さまざまな料理に活用できますが、サラダなどの生食が、風味を楽しめるのでお勧めです。すぐに使わないときは、水を入れたコップに茎をさし、葉はポリ袋をかぶせて冷蔵庫で保存し、1日1回水を取り替え、乾燥を防ぐようにしましょう。
(2024年5月号掲載)

夏の健康サポートに役立つモロヘイヤ

 暑さ厳しい夏を健康的に過ごすための栄養素が豊富なモロヘイヤ。今や夏野菜の代表格となっていますが、モロヘイヤが日本に到来したのは1950年代、本格的に認知度が高まったのは1980年代と、日本での歴史は浅い野菜です。原産国のインドやエジプトでの歴史は古く、重い病を患っていた古代エジプトの王様が、モロヘイヤのスープを飲んで治ったという説から、「王様の野菜」と呼ばれるようになりました。
 それほど栄養価が高いモロヘイヤ、特筆すべきは抗酸化ビタミンが豊富なことです。カロテン(ビタミンA)はホウレンソウの2倍以上含まれており、ビタミンE・ビタミンCも豊富で、夏の強い紫外線から肌を守ってくれます。また、葉を刻むと出てくるネバネバした成分は、胃腸の粘膜を保護してくれます。腸内環境を整える食物繊維や骨の健康維持に役立つカルシウムやビタミンKも豊富です。
 モロヘイヤはアク成分のシュウ酸を含んでいるため、サッと茹でてからいただきましょう。お浸し、和えもの、天ぷら、炒めもののほか、細かく刻んでネバネバにしてスープやソースにしたり、ほかのネバネバ食材と組み合わせるのもお勧めです。湯通しする程度にサッと茹でて、氷水にさらしてから水気をしっかり切り、空気を抜いて保存袋に入れることで冷凍保存もできます。
(2024年7月号掲載)

秋は「花みょうが」を美味しく食べよう

 みょうがは「花みょうが」と「みょうがたけ」に分類され、一般的にみょうがとして知られているのは、花の蕾のような形をしている「花みょうが」です。花みょうがには、7~8月に収穫される「夏みょうが」と、9~10月に収穫される「秋みょうが」があります。収穫の時期は近いのですが、見た目や食感は異なります。夏みょうがは小ぶりで、中身があまり詰まっていません。秋みょうがは色鮮やかで大きく、シャキシャキしており、秋みょうがのほうが好まれる傾向にあります。スーパーなどでパック売りされているみょうがのほとんどはハウス栽培されたもので、ふっくらとした丸みとツヤがあって、先がしっかり締まっているものがお勧めです。
 みょうが特有の爽やかな香りやシャキッとした食感がアクセントになり、食欲を促してくれるので、サラダや和えもの、酢のもの、汁ものに加えたり、冷奴やそうめん、そばの薬味にするなど、食欲が落ちやすい夏から秋にかけて、こまめにとり入れましょう。アクが強いため、切ってからサッと水にさらすと美味しくいただけます。繊維に沿って切ると、シャキシャキした食感が活かせ、繊維を切るように輪切りにすると香りが立ちやすく、食材と絡みやすくなります。サッと湯通ししてから酢に漬けると色鮮やかになります。
(2024年9月号掲載)

食卓の彩になるカリフラワー

 秋から春にかけて流通するカリフラワーですが、もっとも美味しい旬は、11月~3月の寒い時期です。旬のカリフラワーは甘みがあり、えぐみが少ないので、新鮮なものは生でも食べることができます。生で食べると独特の食感が楽しめますが、甘みやみずみずしさを感じたい時は、茹でて食べるのがお勧めです。
 白く鮮やかなカリフラワーは食卓を明るく彩ってくれます。収穫してから日にちが経つと変色してしまうため、できるだけ早く食べるようにしましょう。茹でる時に酢を加えると、白く仕上がります。また、緑色や黄色、オレンジ色のもの、円錐の形状をしたロマネスコ、ブーケのような形のカリフローレという品種もあります。カリフラワーは芸術的な形状をしており、フラクタルとよばれる螺旋状に塊が集まった構造をしています。ロマネスコは、特にそれが顕著に表れています。
 色は違うものの見た目がよく似ている野菜にブロッコリーがありますが、カリフラワーは、ブロッコリーが突然変異で白くなり、それを品種改良させたものなのです。どちらもアブラナ科で、キャベツの仲間です。カリフラワーにはキャベツのような甘みがあるのが特徴です。
 見た目に美しいカリフラワーは栄養価も高く、ビタミンCが豊富に含まれます。旬のカリフラワーを食べて、健康的に冬を過ごしましょう。
(2024年11月号掲載)

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