イカリホールディングス株式会社 よりそい、つよく、ささえる。/環文研(Kanbunken)

COLUMN

- コラム

「月刊クリンネス」に掲載された
過去の連載コラムの中から、
テーマ別に選りすぐりの記事をご紹介します。
(執筆者や本文の情報は執筆時のものです)

色を味方に暮らしを楽しむ

一般社団法人 日本カラリスト協会
▼日本カラリスト協会のホームページ▼
https://colorist.or.jp/

「パーソナルカラー」を見つける

 人にはそれぞれ、肌、髪、瞳、唇など、生まれながらに持っている色があり、これらの色と調和してその人を輝かせて見せてくれるのが「パーソナルカラー」です。色は、大きくふたつに分かれます。ひとつは色の中に青みを感じる、クールなブルーアンダートーンの色。たとえば赤ワインの赤やレモンの黄色です。もうひとつは色の中に黄みを感じる、暖かみのあるイエローアンダートーンの色。神社の鳥居の赤やバナナやマンゴーの黄色です。「パーソナルカラー」では、4つのグループに分類して似合う色がどのグループかを診断します。
 (1)パステルサマー※1 は、梅雨時の紫陽花やグレイがかった空の色など、やさしくて穏やかな色のグループ、(2)ブリリアントウインター※1 は、クリスマスの赤や緑などの鮮やかな色と無彩色のメリハリのある色のグループです。(3)ブライトスプリング※2 は、春のお花畑のような黄、赤、黄みどりなどの明るくカラフルな色のグループ、(4)ディープオータム※2 は、紅葉や実りの秋をイメージする、深く落ち着いた色のグループです。
 これらのグループの中から、似合う色を知って生活に活かせば、自分をより魅力的に表現することができます。時として色は、言葉以上に雄弁にその人を物語ります。色を使いこなすことは、自分の印象をコントロールすることにもなるのです。
(2022年7月号掲載)

※1 ブルーアンダートーン         
※2 イエローアンダートーン

職場における「ベーシックカラー」の活用

 ビジネスシーンではTPOが重要ですが、洋服選びの際に「ベーシックカラー」を知っておくと大変便利です。ベーシックカラーとは、白、黒、グレー、ネービー、ベージュ、茶の6色で、いわゆる定番色です。色みが抑えられているので品良くまとまり、ほかの色とも調和しやすいため、上手にコーディネートすることで周りから好感を持たれる装いが完成します。また、クローゼットをベーシックカラー中心に揃えておくと、職場でのコーディネートが楽になります。
 ただし、ベーシックカラーであっても自分の「パーソナルカラー」(2022年7月号参照)に似合う色を選択する必要があります。(1)パステルサマーの人は、明るいグレーやグレードネービー※1 など、青みを感じる穏やかな雰囲気の色が得意です。(2)ブリリアントウインターの人は、白と黒やチャコールグレーなどコントラストをつけた組み合わせが良いでしょう。ビビッドカラー※2 やアイシーカラー※3 を差し色にするのもお勧めです。(3)ブライトスプリングの人は、黄みを感じるベージュや明るいブラウンなど暖かみのある色のコーディネートがその魅力を引き立てます。(4)ディープオータムの人は、濃い茶やオイスターホワイト※4 など落ち着いた色が似合います。ベーシックカラーを味方につけて、毎日のファッションを楽しんでください。
(2022年9月号掲載)

※1 グレーがかった紺色
※2 鮮やかな色
※3 白に一滴、色を加えた薄い色
※4 牡蠣の身のようにわずかな黄みの白

自分らしく装う方法

 朝、クローゼットの前で「何を着て行こうか」と悩むことはありませんか。そんなときは、色を意識して洋服を選んでみましょう。
 色には、相手にメッセージを伝える力があります。私たちは初対面の際、派手、地味、華やかなど、知らず知らずのうちにその人に対する印象を持ってしまうことがあります。それは、声や身体的な特徴からイメージされることもありますが、最も大きな面積を占める洋服の色から感じ取ることも少なくありません。これは、色彩心理と呼ばれる「色から受ける感情のイメージ」によるもので、たとえば赤は情熱、青は冷静、緑は新鮮、茶色は安定、白は清潔、黒は抑圧などもそのひとつです。
 有彩色※ の中で、最も明るい黄色は、躍動感や元気な印象を伝える色です。初めて会う人が多い場所には、黄色を着て行くのはいかがでしょう。色の効果で、楽しい話題に花が咲くかもしれません。反対に、黒は緊張感を与える色なので初対面の人と会う場合には避けたい色です。赤は情熱的でエネルギッシュな色なので、エネルギーをもらいたいときには効果的な色です。青は誠実さを印象づける色です。大事な商談は、ぜひ青で決めてください。
 色合いの違いは、太陽光線の波長の違いによって生まれます。光のエネルギーを身にまとい、あなたらしい装いを楽しんでください。
(2022年11月号掲載)

※ 赤、黄、青など、色みのある色のこと

生活空間で色彩パワーを活用

 インテリアの色彩を決める際には、色の持つ心理的な影響を考慮するのが上手な選び方です。色彩が持つパワーを毎日の生活空間に取り入れることで、心地よさを感じ、心も豊かに育まれます。
 橙(だいだい)は社交性を演出する色で、リビングに使えば家族間のコミュニケーションもスムーズになります。大衆向けの色なので高級感や上品さには欠けますが、来客が親しみを感じ、楽しい気分になってくれるでしょう。橙に黒を加えた色みの茶は、ラグジュアリーなイメージや重厚感を演出します。格調高いレストランやホテルに多く利用され、緊張を緩和し、温もりを感じさせてくれます。青は寝室に使うと快眠に、また集中力のアップにも効果的です。青を見ていると気分が落ち着くという経験をお持ちかと思いますが、実際に脈拍が安定し、呼吸も穏やかになるという報告もあります。仕事場であれば、頭脳労働や単純作業の効率を高めてくれるでしょう。空間をスタイリッシュに演出したい場合には、インスピレーションを高める神秘性とクリエイティブな創造性を備えている紫が有効です。個性的でインパクトの大きい紫に、控えめながらも洗練された印象のグレーを組み合わせると好相性です。
 色彩のパワーを効果的に活用した生活空間で、コミュニケーションを深めたり作業効率のアップを図ってください。
(2023年1月号掲載)

色彩がSDGsに貢献できること

 色彩の観点からSDGs(持続可能な開発目標)を考えてみると、最近は地下鉄の路線図や地図表示などにユニバーサルカラーの利用が見られるようになりました。高齢者や色弱の人にも配慮し、皆が暮らしやすい社会を作るための色彩活用です。また、トイレの入り口のマークや小学生のランドセルなどは、ジェンダーの差別につながらないよう、これまでの固定概念を取り去った色選びが求められています。
 サステナビリティとは、地球環境と人間社会が良好な関係を保ちながら共存し、発展し続けていこうという考え方です。将来にわたって人間の活動を持続させるためには、エコロジー、経済、政治、文化の4つの分野が重要になります。すなわち、色彩から生まれた文化の継承も大切なSDGsのひとつといえるでしょう。
 日本人は長い歴史の中で、自然からインスピレーションを得て、多くの色彩文化を創造してきました。平安時代には、四季の美しい色から十二単(じゅうにひとえ)の「かさねの色目」の雅な配色が生まれ、室町〜安土桃山時代には、日本人の精神性や謙虚さを色で表わした「わび、さび」の渋い色が尊ばれました。江戸時代には、幕府から贅沢を禁止された町人たちが茶色と灰色を粋に着こなす「四十八茶百鼠(しじゅうはっちゃひゃくねず)」という言葉も生まれています。色彩には、人々が心豊かに暮らすためのヒントが秘められているのです。
(2023年3月号掲載)

ますます広がる可能性

 先日、ある展示会で「色彩を学ぶことは、ビジネスにも自分づくりにも役立つ」という趣旨の講演をしたところ、予想以上の反響をいただき、改めて色への関心の高まりを感じました。
 色には、「システム」があります。ただ漠然と色に親しむ生活ではなく、きちんと色のシステムを理解して使いこなす生活をすると、見えてくる世界が大きく違ってきます。
 たとえば、自分自身のパーソナルカラーを知ることで、理想の自分に近づくことができるようになります。自分に似合う色、似合うメイク、似合う服を選ぶことで、毎日の生活が楽しくなるばかりではなく、似合うものを吟味するようになり、余分な買いものをしなくなるきっかけにもなります。必要なものを厳選するという暮らし方は、SDGs(持続可能な開発目標)にもつながるでしょう。
 また、食材と器の組み合わせを工夫することで彩り豊かな食卓を演出することができ、インテリアの色の組み合わせ方を知ることで心地よい空間をつくることもできます。
 このように、色は私たちの生活の一部と言っても過言ではありません。年齢や性別を問わず、生活を豊かにする「魔法の杖」、それが色です。ぜひあなたも、色を味方にして暮らしに彩りを添えてみませんか。
(2023年5月号掲載)

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