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4/22
2025
厚生労働省の2014~2023年の統計によれば、食中毒による死者数は合計46名、年間5名前後となっています。原因としては、毒草や毒キノコなどの誤食による植物性自然毒20名、腸管出血性大腸菌12名、素人調理によるフグ毒などの動物性自然毒6名となっています。コロナ禍で他の食中毒事件は減少傾向でしたが、これらの家庭内食中毒事件は減少していません。特に「イヌサフラン」を「行者(ぎょうじゃ)にんにく」と間違えて誤食した死者が13名と報告されています。腸管出血性大腸菌の原因食は、加熱不十分な牛肉か野菜類です。近年加熱不十分なハンバーグを提供する飲食店が全国各地で話題となりましたが、死亡事故につながることを十分に認識すべきと考えます。野菜類については、サラダ類は十分に洗浄して食べるという予防策しかありません。また食中毒以外にも、食物アレルギーに起因するアナフィラキシーショックによる死亡者数が年間約5名※ で推移しています。
家庭内食中毒については、自己責任において十分に注意するしかありませんが、腸管出血性大腸菌による食中毒や、食品表示ミスによる食物アレルギーの発症については、人為的に予防できる事件です。食品事業者としては、死亡事故につながるこれらのリスクを十分に認識することが大切であると考えています。
※ 「アレルゲンを含む食品(総論)」『食品安全委員会ファクトシート』(2024.7)
元保健所食品衛生監視員小暮実
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