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Wed

4/23

2025

三浦半島の自然と歴史(40)複雑な地質と深海生物の痕跡

 城ケ島海岸には、「日本の地質百選」にも選ばれているように、地層や断層を見られる場所がいくつもあります。
 長津呂(ながとろ)の磯の両側には珍しい火炎構造※1 も見られます。西側に沿って少し北側にある浜諸磯の海岸でも、重なって層状になったものが渦巻きのように見える場所や、褶曲(しゅうきょく)した層(スランプ構造)が削り取られた斜面を見ることができます。諸磯隆起海岸は、過去に起きた地震による隆起現象が集中しており貴重なことから、1928年に国の天然記念物に指定されました。
 東側の剱崎(つるぎざき)海岸には、水深1000~2000mほどの海底の砂や、泥の中で生活をしていたカニやエビ、ゴカイなどの深海生物の巣穴や糞、這(は)った跡が化石として残ったもの(生痕化石(せいこんかせき))を観察できる場所があります。コンドライテスと呼ばれる底生動物が作ったと思われる白い点々や、ブンブクウニが堆積物の中を移動した跡と思われるものを見つけることができます。また、ズーフィコスと呼ばれる太古の深海生物(ユムシのようなもの)が泥に詰め込んだ糞の跡といわれているものを見ることもできます※2 。これらを地上で見ることができるのは、さまざまなとてつもない力が加わった結果、深海から地上へ押し出されてきたことによるといわれています。

※ 1  堆積直後の柔らかい堆積物の上に重い堆積物が重なることで、下の堆積物が吹き上がるようにできた堆積構造
※ 2 『深海生物の謎』北村雄一著 サイエンス・アイ新書(2007)

NPO法人 バイオメディカルサイエンス研究会 常任理事前川秀彰

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