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2020

沖縄の豊かな自然と文化(64)クチナシ事情

 クチナシの葉を食べるのは、オオスカシバの幼虫です。分布は本州以南で、近縁種にリュウキュウオオスカシバ(四国・九州・南西諸島に分布)がいます。オオスカシバの翅(はね)は透明で、飛ぶときに羽音が大きいので蜂が飛んで来たのかと思って身を引いてしまいます。羽化後、鱗粉は羽を震わせて落とし、飛び立つときには透明になっているようです。スキバホウジャクは、鱗粉がある程度残っている種です。ホウジャクは鱗粉が落ちない種です。2種とも、南西諸島に生息しています。
 クチナシの実に潜り込んで中身を食べるのは、イワカワシジミの幼虫です。イワカワシジミの生息域は奄美大島以南の南西諸島だそうですが、幼虫にはまだお目にかかっていません。穴が空いている実を見つけたことがあるのですが、幼虫はいませんでした。インターネットで検索するとイシカワシジミの名前で出てくる記事がありますが、おそらくイワカワの間違いだと思います。私も最初は、イシカワだと思っていました。
 本土のクチナシはほとんど園芸品種で、花びらが8重になっています。沖縄のものは、原種だと思われます。花弁が細く6枚しかないので(六方手裏剣に似ている)、一見したところではクチナシとはわかりませんでした。林で咲いている姿は園芸品種に比べ清楚な趣で、景色に溶け込んでいます。

特定非営利活動法人 バイオメディカルサイエンス研究会 常任理事前川秀彰

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