- 日替わりコラム
Thu
12/17
2020
「〽あなたが望むなら、私何をされてもいいわ」から始まる山口百恵さんのデビュー2作目は『青い果実』でした。この歌詞の大胆さ、そして当時の定番衣装であるミニドレスではなく、森英恵さんデザインの「赤いマキシのドレス」を着て歌うことで、山口百恵さんの方向性が決定しました。それは「若者の代弁者」という地位です。同時にドラマ『顔で笑って』で女優業を開始すると、『赤いシリーズ』や映画、さらにバラエティ、CMと引っ張りだこになります。
しかし、肝心の歌の分野でひとつの問題が起きます。数々のヒット作を生み出し、時代を象徴し、確実に成果が出ているにもかかわらず、歌謡大賞が無冠なのです。大賞ノミネートや専門賞は獲得するのですが、肝心の大賞は獲得できませんでした。十分に受賞を狙える立場なのに、それが叶わなかったのです。このことは引退まで続きます。
その理由は、『スター誕生!※ 』の企画者であり作詞家の阿久悠さんの活躍です。阿久さんは5回レコード大賞を受賞していますが、そのうちの3回が山口百恵さんの歌とライバル関係にあったのです。『横須賀ストーリー』、『イミテーション・ゴールド』、『秋桜(コスモス)』の3曲です。2人は決して仲が悪かったわけではありませんが、これは2人の間のちょっとした感情のすれ違いから起こってしまった悲劇なのかもしれません。
※ 昭和46年10月3日から昭和58年9月25日まで日本テレビで放送された、視聴者参加型歌手オーディション番組。山口百恵は、第5代の準優勝者
写真技術研究所別所就治
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