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12/22

2020

カビ毒なぜなぜシリーズ(3)「総アフラトキシン」を規制の対象にしたメリットとは?

 食品衛生法により、平成24年よりアフラトキシンB1(AFB1)から総アフラトキシン(TAF)に規制の対象が改訂されたことにより、どのくらいメリットがあったのかを検証してみたいと思います。
 「厚生労働省 輸入食品等の食品衛生法違反事例一覧」から平成24年度以降のアフラトキシン規制違反例を抜粋し、解析をしてみました。その結果、違反例が多い食品トップ5は小粒、大粒および加工品を含めた落花生、アーモンド、ピスタチオなどのナッツ類、スパイス、乾燥イチジク、とうもろこしでした。輸出国は食品と同様に多様化していますが、落花生では中国とアメリカが、アーモンド、ピスタチオではアメリカとイランが、乾燥イチジクでは、アメリカ、トルコ、イランが、香辛料では中国、インド、パキスタンが、とうもろこしでは、アメリカが違反例の多い国として挙げられました。違反事例における、いわゆるAFB群(AFB1、AFB2のみの汚染)、AFBおよびG群(TAFとしての汚染)の比率を比べてみると、年度や輸出国によって違いはありますが、明らかにAFG群のほうが高い場合も多く見られます。AFB1のみを対象としていた以前の規制では見過ごされていた汚染食品が、TAFを対象としたことで違反となり、市場には流通しなくなりました。規制を策定するだけではなく、今後は定期的な検証が必要だと思います。

元国立医薬品食品衛生研究所 衛生微生物部 部長・一般財団法人 環境文化創造研究所 顧問小西良子

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