イカリホールディングス株式会社 よりそい、つよく、ささえる。/環文研(Kanbunken)

COLUMN

- コラム

「月刊クリンネス」に掲載された
過去の連載コラムの中から、
テーマ別に選りすぐりの記事をご紹介します。
(執筆者や本文の情報は執筆時のものです)

アンチエイジング

管理栄養士・野菜ソムリエ(執筆当時) 篠原絵里佳

真の「アンチエイジング」とは

 「いつまでも若々しくありたい」とは誰もが願うことです。では、若々しくいるとは、どのような状態をいうのでしょうか。しばしば耳にする「アンチエイジング」こそが、その鍵になります。
 アンチエイジングと聞くと、見た目の美しさや不老不死と解釈されがちですが、真のアンチエイジングとは元気で長生きすること(健康長寿)、体の中から健康で美しく歳を重ねることをいいます。公式記録上、最も長生きしたジャンヌ・カルマンさんは、長生きの秘訣は「病気にならないこと」とおっしゃっていました。病気にならないこと、健康であり続けることこそが、アンチエイジングの秘訣なのです。
 さまざまな研究結果から、アンチエイジング(健康長寿)に関しては、遺伝要因は25%に過ぎず、75%が環境要因であることがわかってきました。環境要因とは、「食事・運動・生きがい(心のありかた)」が挙げられます。このうち、どれが欠けてもアンチエイジングは実現できません。これらは、90歳や100歳になってからできるものではなく、気づいたときから意識することが大切です。
 その年齢で作りうる最高の健康状態を実現するには、それまでの人生における健康様態が良くなければなりません。今日から食事、運動、心について、できることから見直してみましょう。
(2013年1月号掲載)

腸内環境を整えよう

 「腸の老化は全身の老化に繋がる」といわれるほど、腸内環境を整えて腸を元気にすることは、アンチエイジングには欠かせません。私たちの腸には善玉菌と悪玉菌が住みついており、両者は腸内で自分の数を増やそうと常に闘っています。善玉菌が悪玉菌の増殖を抑え、バランスが維持できていることを、腸が整っている状態といいます。偏った食事を続けると善玉菌が減少し、悪玉菌が増えて腸内バランスが悪くなります。
 善玉菌を増やすには、生きた菌が摂れる「発酵食品」が大切で、ヨーグルト、納豆、キムチ、ぬか漬けなどが挙げられます。善玉菌は食物繊維を分解して増殖するので、「食物繊維」も積極的に摂りましょう。
 バナナ、りんご、ごぼうなどの野菜や果物全般、きのこ、海藻、芋などにも豊富に含まれます。善玉菌のビフィズス菌の餌となる「オリゴ糖」も欠かせません。玉ねぎ、ごぼう、バナナ、きなこ、はちみつなどに多く含まれます。
 例えば、ヨーグルトにりんごとはちみつを加えたり、キムチと玉ねぎ、ごぼうを炒めたり、ご飯に納豆をかけ、わかめの味噌汁やぬか漬けを箸休めにいただき、デザートにバナナを食べるのはいかがでしょう。
 発酵食品と食物繊維やオリゴ糖の組み合わせで、腸のアンチエイジングを心がけたいものです。
(2013年3月号掲載)

睡眠とアンチエイジング

 アンチエイジングに欠かせない要素のひとつに「睡眠」があげられます。理想的な睡眠時間は個人によって異なりますが、一般的に7~8時間といわれています。睡眠時間だけでなく、良質な睡眠をとることも大切です。「目覚めても体がだるい」、「日中に強い眠気を感じる」、「休日は平日より2時間以上寝坊してしまう」というような症状があれば、睡眠の質が落ちている可能性があります。
 質の良い睡眠をとることができると、成長ホルモンが大量に分泌されます。活性酸素によって細胞が傷つけられると老化が促進されますが、この傷ついた細胞を修復し再生する役割をするのが成長ホルモンです。夜になると分泌量が増加するメラトニンというホルモンには、体の酸化を防ぐ役割もあります。また睡眠不足は、肥満や便秘を引き起こしたり、生活習慣病の発症リスクを高めるなどの研究データも多数出ています。このようなことからも良質な睡眠をとることは、アンチエイジングには欠かせない要素となることが理解できます。
 質の良い睡眠のためには、就寝1時間前に温めの湯船に入ったり、リラックスして緊張を解き、血流がよくなるように心がけましょう。強い光は眠気を遮さえぎりますので、テレビやパソコン、携帯電話は就寝1時間前に電源を切りましょう。夕食は3時間前にはすませましょう。
(2013年5月号掲載)

紫外線と老化

 老化を促進させる要因に、紫外線があげられます。地表まで届く紫外線には2種類あります。皮膚の奥(真皮)にまで届いて皮膚の老化を促進させる「光老化」の原因となるA波と、DNAにたくさんの傷をつけて「皮膚がん」の原因となるB波です。A波は細胞内外で吸収されて活性酸素を作ります。活性酸素は大量に発生すると細胞と結びついて(酸化)、細胞を死滅させたり、脂質と結びついて動脈硬化や生活習慣病の要因となる過酸化脂質を作り出してしまいます。また、肌のシミやしわ、たるみも、紫外線と深く関わっています。
 美容と健康のためには、紫外線から身を守ることが大切です。日焼け止めを塗るほか、酸化を防ぐ抗酸化作用のある栄養成分を摂り入れることも必要です。ビタミンA、C、Eが代表的な抗酸化ビタミンです。
 ビタミンAは、緑黄色野菜に多く含まれます。ビタミンCは野菜や果物に多く含まれますが、調理により壊れやすい性質があるため、効率的なビタミンC補給には果物がおすすめです。ビタミンEは、アーモンド、アボカド、ごま、南瓜(かぼちゃ)、赤ピーマンなどに多く含まれています。また、野菜の色素成分にも抗酸化作用が期待できますので、いろいろな色の野菜を摂りましょう。特に4~9月は紫外線が強い時期ですので、食事などを工夫して体の中からの対策も心がけましょう。
(2013年7月号掲載)

秋刀魚(さんま)でアンチエイジング

 秋刀魚が旬を迎えています。秋の秋刀魚は脂がのっていて、今が1年で最も美味しい時期です。秋刀魚の脂には、アンチエイジングに欠かせない大切な栄養成分が豊富に含まれています。それは、EPAやDHAといった脂肪酸です。これらの脂肪酸は血中の中性脂肪を低下させ、血液凝固(血栓)を防いで血液をサラサラにしてくれます。そのうえ、DHAには善玉コレステロールを増やす効果もあり、これらの働きが動脈硬化を防いでくれます。アンチエイジングのためには、動脈硬化を防ぎ、生活習慣病にならないことが重要な要素ですので、EPAやDHAが豊富な秋刀魚は動脈硬化予防、ひいては生活習慣病予防に一役買ってくれるのです。また、DHAをたっぷり摂ることで、脳の神経細胞が活性化され、認知症の予防になることもわかってきており、脳のアンチエイジング効果も期待できます。
 注意したいことは、秋刀魚などの魚の脂は酸化しやすいという点です。鮮度が落ちると酸化が進みますので、できるだけ早く食べるようにしましょう。また、加熱することで油は酸化するため、焼き魚には抗酸化作用のあるレモンをふりかけたり、大根おろしをたっぷり添えましょう。
 缶詰の魚は酸化していないので、アンチエイジングにおすすめの食材です。旬の食材を楽しみながら、美味しくアンチエイジングをしましょう。
(2013年9月号掲載)

乾燥から肌を守る食事

 秋も深まってくると、肌の乾燥が気になりだします。空気が乾燥しているうえに、エアコンの使用により、さらに室内を乾燥させてしまいます。乾燥した環境に身を置くと、喉や鼻の粘膜も乾燥し、風邪やインフルエンザなどにかかりやすくなります。また、お肌のバリア機能の役割となっている皮脂膜も乾燥し、肌荒れや小じわを引き起こす原因となります。
 肌や喉、鼻の粘膜を保護して乾燥を防ぐ栄養素には、ビタミンAやβカロテンが挙げられます。ビタミンAはレバーや卵黄、うなぎなどに豊富に含まれます。にんじん、ほうれん草、南瓜などの緑黄色野菜に多く含まれるβカロテンは、体内に入ると必要に応じてビタミンAに変換されます。ビタミンAやβカロテンは油と一緒に摂ると吸収率が高まりますので、ほうれん草と卵のソテーや、にんじんのきんぴらやポタージュ、かき揚げなど、油で調理したものがおすすめです。また、山芋やオクラ、納豆などのネバネバ成分はヒアルロン酸が豊富です。ヒアルロン酸は1gで6リットルもの保水力があり、乾燥肌の予防にも良い食材です。
 もちろん、鼻、喉、肌などの細胞の材料となるタンパク質や、細胞の膜を作る油も不足しないようにしっかり摂りましょう。日々の食事の主菜には肉や魚、卵、大豆製品を摂り入れ、油を減らし過ぎない食事を心がけましょう。
(2018年11月号掲載)

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