イカリホールディングス株式会社 よりそい、つよく、ささえる。/環文研(Kanbunken)

COLUMN

- コラム

「月刊クリンネス」に掲載された
過去の連載コラムの中から、
テーマ別に選りすぐりの記事をご紹介します。
(執筆者や本文の情報は執筆時のものです)

たっぷり野菜で、心も体も健康に

管理栄養士・野菜ソムリエ 篠原絵里佳

七草粥で体をリセット

 「人日(じんじつ)の※1 節句」の明日、1月7日の朝にいただく七草粥。セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ、スズシロの七草は、早春に芽吹くことから邪気を払うといわれており、七草粥には無病息災(むびょうそくさい)の願いが込められています。江戸時代に広まった七草粥の風習は中国伝来のもので、「六日年越、七日正月」と言われる中国では、7日がひとつの節目とされているそうです。
 先人の願いが込められた七草粥ですが、栄養の面から見ても、正月7日にいただく七草粥は理にかなっています。お正月の祝膳や祝酒で疲れた胃腸を休める働きがあるからです。たとえば、お粥は胃腸に負担をかけずにいただくことができますし、七草のスズナ(かぶ)やスズシロ(大根)には消化を助ける酵素が含まれます。セリやナズナをはじめとする七草には、ビタミンCや鉄、カリウムなどのミネラルも豊富に含まれており、冬場に野菜が乏しかった時代に不足しがちなビタミンやミネラルなどを補う機会にもなっていたようです。
 七草粥はもともと「七種粥(ななくさがゆ)」※2 でした。七種類の若菜で作られ春の七草になったのは後世になってからです。また、地方によっても食材は異なりますので、お好みの野菜や冷蔵庫の野菜でご家庭オリジナルの七草粥を楽しんでみるのもいいですね。
(2015年1月号掲載)

※1 5節句のひとつで、1月7日のこと
※2 現在とは違い、米、アワ、ヒエ、キビ、アズキ、ゴマ、みので作られていた

乾燥肌対策

 空気が乾燥するこの季節は、お肌の乾燥にも悩まされます。乾燥肌を予防するためには体の中からのケアとなる食事が大切です。おすすめの食材は、にんじん、かぼちゃ、ほうれん草、春菊などのベータカロテンをたっぷりと含んでいる緑黄色野菜です。ベータカロテンは体内で必要に応じてビタミンAとして働き、皮膚の粘膜を保護し肌を潤してくれます。油と一緒にとることで吸収が高まるので、キンピラのように油で炒めたり、牛乳を使ってポタージュにしたり、マヨネーズで和えていただきましょう。
 また、ネバネバした食材には1gで6リットルもの保水力があるヒアルロン酸が含まれていますので、オクラや山芋なども積極的にとるとよいでしょう。その際、コラーゲンと一緒だと働きが高まりますので、ぜひ鶏手羽、鶏皮、牛スジ、豚足、カレイ、鰻(うなぎ)などと一緒にお召し上がりください。
 乾燥肌を防ぐためには、良質な油も大切です。アボカドは豊富なオレイン酸が肌をしっとりと保ち、青いうちに収穫して追熟(ついじゅく)させることで美味しくなります。食べ頃を見分けるのが難しいのですが、ヘタが少し渇いたように浮いてきているもの、皮の色が黒くなっているものを選びましょう。もちろん、肌の材料となるタンパク質も欠かせません。緑黄色野菜たっぷりのバランス食を心がけましょう。
(2015年3月号掲載)

野菜パワーで紫外線対策

 4月頃から徐々に強くなる紫外線。紫外線対策は1年中必要ですが、美容と健康のためにも、この時期からしっかりと紫外線対策に努めましょう。日焼け止めなどの外からのケアと、食事による体の中からのケア、両方からのアプローチが大切です。
 紫外線にあたると発生する活性酸素は、肌の張りを失わせたり、シミの原因になるなど、肌の老化や生活習慣病を招く一因にもなります。そこで積極的に摂りたいのが、活性酸素を取り除く働きをする抗酸化作用のある野菜や果物です。おすすめは、トマト、なす、ピーマン、パプリカなどの夏野菜です。強い紫外線にあたって育つ夏野菜は、自ら抗酸化物質を作り出し紫外線から身を守っているため抗酸化作用が強いのです。
 また、緑黄色野菜は抗酸化ビタミンといわれるβカロテン(ビタミンA※ )、ビタミンC、ビタミンEを併せ持っているものが多く、これらの栄養素は複数で摂ることで相乗効果も期待できます。
 いろいろな色の野菜を摂ることも、大切です。色素成分にも抗酸化作用のあるものが多いからです。おすすめは、カボチャや赤ピーマン。抗酸化ビタミンをすべて豊富に含みます。油と一緒に摂ると、カロテンやビタミンEの吸収が高まりますよ。旬を楽しみ、彩りを楽しんで、体の中から紫外線対策をしましょう。
(2015年5月号掲載)

※ βカロテンは体内に入ると、必要に応じてビタミンAに変化する

野菜の酵素にダイエット効果

 ダイエット効果があると注目を浴びている「酵素」には、体内で作られる体内酵素と食物に含まれる食物酵素があります。そして体内酵素には、食べたものを消化するための消化酵素と、エネルギー代謝など生命維持のための代謝酵素があります。体内で作られる酵素の量は限られており、まずは消化に使われ、余った酵素が代謝に使われます。
 エネルギーを利用し、消費することをエネルギー代謝と呼びますが、これが活発になるとエネルギー消費量が増えるため、その結果、ダイエットをしやすくするといわれています。ダイエットのためには体内で使う消化酵素を節約して、そのぶん代謝酵素を増やし、エネルギー代謝を高めることです。そこで注目されているのが、食物酵素なのです。
 野菜や果物には、消化酵素を含むものが多くあります。大根にはでんぷんの消化酵素が含まれることは広く知られています。さらに、タンパク質や脂質を分解する酵素も含まれる優れた野菜です。また、パイナップルにもタンパク質を分解する酵素が含まれるなど、消化酵素を含む果物もたくさんあります。なお、酵素は加熱に弱いため、調理に注意が必要です。
 消化酵素を食物から摂ることで、そのぶん代謝に使う酵素の量が増えますので、ダイエット効果が期待できます。もちろん、適正なエネルギー量とバランスの良い食事が大切であることも、お忘れなく。
(2015年7月号掲載)

夏の疲れは野菜でとる

 猛暑の夏も終盤を迎える初秋は、夏の疲れが出る頃です。旬の野菜をたっぷり摂り入れて、この夏の疲れを解消しましょう。
 夏の疲労の原因に、紫外線にあたることで発生する活性酸素が挙げられます。トマト、ナス、ゴーヤ、ピーマンなどの”ぶらり型野菜“など紫外線をたっぷりと浴びて育つ野菜には、活性酸素を除去する抗酸化成分が豊富なのでおすすめです。また、汗とともに流れ出てしまうビタミンB群やビタミンC、カリウム、カルシウム、鉄といったビタミンやミネラルもしっかり補いましょう。旬の野菜はそうではないものと比べると、ビタミンやミネラルの含有量も豊かです。モロヘイヤ、つるむらさき、いんげん、チンゲン菜などの緑色野菜には、これらの栄養素も十分に含まれるため、積極的に摂りましょう。
 秋においしさを増すきのこ類には、エネルギー代謝を高め疲労を解消するビタミンB群が豊富です。また、旬の名残となるオクラ、モロヘイヤ、これから旬を迎える山芋や里芋のネバネバ成分は、夏に疲れた胃腸の粘膜を保護し、胃腸の調子を整えたり、疲労回復に欠かせないタンパク質の消化吸収を助けてくれます。
 旬の野菜をたっぷり摂り入れたバランス食で、夏の疲労をとり、これから迎える冬に向けて体調を整えましょう。
(2015年9月号掲載)

秋に味わう野菜の魅力

 さつまいも、里芋、じゃがいもなどの芋類、ごぼうやれんこんなどの根菜類は、秋の味覚の代表格です。旬の野菜には、その季節に体が求めている栄養成分がたっぷりありますが、これらの食材には、細菌やウイルスと闘う白血球を活性化するビタミンCも豊富に含まれています。通常は熱に弱いビタミンCですが、芋類や根菜類のビタミンCはでんぷんに守られているため、熱に強いという特徴があります。熱を加えた料理でいただくことの多いこれらの野菜は体を温めてくれるので、これからの季節にぴったりです。
 秋の味覚といえば、きのこ類も挙げられます。豊富な食物繊維が腸内環境を整えるとともに、免疫力を高める働きのあるβグルカンが含まれていることでも注目を浴びています。
 ブロッコリーや青梗菜(ちんげんさい)、小松菜、ほうれん草、人参といった緑黄色野菜も秋の味覚でしょう。豊富に含まれるカロテンが、鼻や喉の粘膜を強化し、免疫力を高めてくれます。カロテンは油と一緒に摂ることで吸収が高まりますので、炒め物や胡麻和えにするのもおすすめです。
 秋の味覚を楽しむことで、体が温まるうえに免疫力も高まり、これから迎える厳しい冬に備えた丈夫な体をつくることができます。旬の野菜を食卓にたっぷり取り入れて、心も体も健康になりましょう。
(2015年11月号掲載)

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