- コラム
「月刊クリンネス」に掲載された
過去の連載コラムの中から、
テーマ別に選りすぐりの記事をご紹介します。
(執筆者や本文の情報は執筆時のものです)
社会福祉法人 日本介助犬協会 訓練センター長 水上言
介助犬とは、手足の不自由な方(肢体(したい)不自由者)の自立と社会参加の促進を目的に、日常生活をサポートするように特別に訓練された犬のことをいいます。サポート内容は、落としたものを拾って渡す、指示したものを持ってくる、緊急時に家族を呼びに行ったり携帯電話を探して持ってくる、ドアの開閉、鍵の開閉、衣服の脱衣補助、段差などでの車いすの牽引等々で、それぞれの障害者に必要な作業をテーラーメイド的に犬に教え、介助犬として育成していくのが特徴です。
視覚障害者をサポートする盲導犬、聴覚障害者をサポートする聴導犬とあわせて「身体障害者補助犬」と呼ばれ、2002年に不特定多数の方が利用する施設や公共交通機関など、社会での受け入れを義務化した身体障害者補助犬法が施行されました。2018年4月1日現在、全国で75頭の介助犬が活躍しています。
介助犬と暮らし始めてから、不安が解消されたことや自信が持てたことで1人での外出が可能になったという方や、家族の負担が軽減されたという方など、介助犬に身の回りの手伝いをしてもらうこと以上の効果があると、数多くのユーザーさんから声が届いています。まだまだ認知度の低い介助犬ですが、障害者の自立に寄与する介助犬が当たり前に受け入れられる社会になることを切に願います。
(2018年8月号掲載)
手足の不自由な方をサポートする介助犬ですが、その候補となる犬たちは、繁殖犬と呼ばれる母犬から生まれます。繁殖ボランティアさんのお宅で、母犬や兄弟犬たちと遊んだり喧嘩をしたりしながら犬同士の社会化を学び、生後2か月齢で仔犬を家族として迎え入れてくださるボランティア家庭に1頭ずつ預けます。そこで愛情たっぷりに育ててもらい、人と一緒に暮らす中での社会性を身につけていきます。
1歳で訓練センターへ入所してから、約1年間は介助犬になるための訓練を行います。座る、伏せる、待つなどの基本訓練、落としたものを拾う、ドアの開閉、携帯電話を探して持って来るなどの介助作業訓練、電車やバスの乗車訓練、商業施設などさまざまな場所で落ち着いて行動し、介助作業ができるようになるためのパブリック訓練です。それらの訓練を通して犬の得意不得意を見極め、介助犬との生活を希望されている肢体(したい)不自由者の方とマッチングをします。最後に、マッチングしたペアでの訓練を経て、ペアで認定試験に合格して介助犬が誕生します。
ただ実は、訓練開始前や訓練の段階に応じて適性評価を重ね、最終段階まで訓練を進められるのは全体の約2~3割です。適性のない犬を介助犬にすることほど、犬にも人間にも不幸なことはないので、私たちは介助犬としての適性の有無を最も重要視しています。
(2018年9月号掲載)
介助犬との生活に向けて合同訓練中だったある方が発した、忘れられない言葉があります。それまで活動的だったその方は、難病の発症により、ほぼ寝たきりの生活に変わってしまいました。当初はまさか自分が「障害者」になるとは考えてもみなかったそうですが、月日が経過しても病気はいっこうによくならず、障害者である自分を受け入れなければならなくなりました。天井だけを見て過ごす毎日の中で、「自分が思い描いていたのはこんな人生ではない」、「行きたいところへ自由に行きたい」という思いが強くなったといいます。そんな時に介助犬を知り、相談してみようと思い立たれたそうです。しかしその時点でのその方は、介助犬が来ても根本的な解決にはつながらない状況にありました。
家族の説得、行政への働きかけ、ベッドから起き上がり車いすに座って生活する時間を増やすなど、生活環境を整えるのに1年をかけ、念願の介助犬との訓練が始まりました。介助犬を伴って初めて家の外に出た時に、彼女がふともらした「空ってこんなに青かったのですね」という言葉は、私たちの心に深く突き刺さりました。その後は1人でコンビニエンスストアへ行かれたり、電車やバスでの通院など、私たちやご家族を驚かせるほど活動的になり、介助犬との暮らしがこれほど勇気や自信を与えてくれるものかと、犬の素晴らしさを改めて実感しました。
(2018年10月号掲載)
身体障害者補助犬法が成立して15年以上たった今も、介助犬を連れて社会参加をしている障害者が同伴拒否に遭うことは少なくありません。身体障害者補助犬法では、飲食店や宿泊施設、公共交通機関、病院等の不特定多数の方が利用する施設では、認定された介助犬(補助犬)を連れた障害者の利用を断ってはならないと定められていることを、ぜひ全国の皆さんに知っていただきたいと思います。
また、当会を含めたほとんどの育成事業者は、介助犬を必要とされる障害者へ無償で貸与しています。しかしその育成費用(1頭当たり250万円~300万円)の9割以上を、一般の方や企業、慈善団体等の寄付などに頼っているのが現状です。賛助会員さんからの会費、街頭募金、募金箱の設置、チャリティーグッズ販売、遺贈(いぞう)※ など、さまざまな方法で育成資金を確保すべく努めていますが、いずれも安定的な収入としては見込めず、育成事業者には経済的な不安定さが常につきまとっています。
読者の皆さんには、身体障害者補助犬法の存在を含め、まずは介助犬や介助犬を必要としている障害者の存在を知っていただき、それを周囲の方々にも知らせていただきたいと思います。そして、障害者の方々にとって住みよい社会の実現に向けて、皆さん1人ひとりが無理なく続けられる応援とご支援をよろしくお願いいたします。
(2018年11月号掲載)
※ 遺言によって、財産を贈与すること
NEW
印象アップ!
ビジネスメールの
コツ(3)
NEW
食で“魚”を愉しむ(4)
素晴らしき
生きものたち(1)
障がい者が働きやすい
職場を目指して
乳製品の
魅力と健康
衛生視点で
感染症・災害時の
BCPを考える(1)
誌上でめぐる
世界の恐竜化石(1)
印象アップ!
ビジネスメールの
コツ(2)
今こそ知っておきたい
「GAP」
バッタ博士の
バッタの話
高齢社会で生きる
合っていますか?
その日本語(2)
工場点検から
見えてくるもの
古くて新しい感染症
「結核」
京都の魅力を訪ねて(3)
ネズミ豆知識(2)
認知症の予防(3)
食品衛生に
取り組むあなたへ(5)
ビジネスに役立つ
文章講座(1)
人と犬と猫が
ともに暮らすこと(1)
食品にまつわる
トラブルから学ぶ
(7)
展覧会に出かけると(4)
認知症の予防(2)
ネズミ豆知識(1)
先人達の
マーケティングに
学ぶ(2)
食品衛生に
取り組むあなたへ(4)
デング熱と蚊
野菜を美味しく食べて
健康に(2)
食品衛生に
取り組むあなたへ(3)
先人達の
マーケティングに
学ぶ(1)
寄生虫あれこれ(1)
認知症の予防(1)
展覧会に出かけると(3)
食品衛生に
取り組むあなたへ(2)
印象アップ!
ビジネスメールの
コツ(1)
身近な食中毒
イルカが教えて
くれること(4)
食品衛生に
取り組むあなたへ(1)
ヤマビルって
どんな生きもの?
食品にまつわる
トラブルから学ぶ
(6)
沖縄のいきもの事情(6)
植物と人々の暮らし(2)
1か月で1キロ痩せる
ダイエット
もっと知りたい
漬物の魅力
目黒寄生虫館に
展示されている
寄生虫(3)
植物と人々の暮らし(1)
野菜を美味しく食べて
健康に(1)
冷凍食品の豆知識
京都の魅力を訪ねて(2)
沖縄のいきもの事情(5)
食品衛生管理における
ヒューマンエラー対策
京都の魅力を訪ねて(1)
免疫力を高める食事
イルカが教えて
くれること(3)
食で“魚”を愉しむ(3)
片づけられる
子どもに育てる(3)
さまざまな依存症
沖縄のいきもの事情(4)
異臭苦情問題を考える
イルカが教えて
くれること(2)
食で“魚”を愉しむ(2)
夜空を眺めて
みませんか(2)
発達障害とは
ぶらぶら歩きの
極意(2)
大人の食物アレルギー
イルカが教えて
くれること(1)
おふくろの味の
底ぢから(3)
片づけられる
子どもに育てる(2)
沖縄のいきもの事情(3)
食品にまつわる
トラブルから学ぶ
(5)
おふくろの味の
底ぢから(2)
夜空を眺めて
みませんか(1)
おふくろの味の
底ぢから(1)
食品企業改革
ものがたり
コウノトリの
過去・現在・未来
片づけられる
子どもに育てる(1)
注目すべき
食中毒(4)
展覧会に出かけると(2)
子どもの健康
食品にまつわる
トラブルから学ぶ
(4)
沖縄のいきもの事情(2)
お宝をまもる営み
沖縄のいきもの事情(1)
食品にまつわる
トラブルから学ぶ
(3)
今日から始める!
片づけ入門
水と健康(2)
水と健康(1)
暮らしの頼れる
パートナー
「介助犬」
さまざまな健康障害
目黒寄生虫館に
展示されている
寄生虫(2)
リバウンドしない
ダイエットのために
目黒寄生虫館に
展示されている
寄生虫(1)
注目すべき
食中毒(3)
展覧会に出かけると(1)
食品にまつわる
トラブルから学ぶ
(2)
持続可能な
開発目標(2)
食品にまつわる
トラブルから学ぶ
(1)
持続可能な
開発目標(1)
薬と仲良く、
元気な毎日
上野動物園の
ジャイアントパンダ
食生活を
”少しだけ変えて”
健康に
異物混入問題を
考える
多摩動物公園
昆虫園だより
食物アレルギーと、
どうつきあっていくか
食品を介して感染する
恐れのあるウイルス
歯の健康は、
心と体の健康
介護保険制度と
お金(2)
安富和男先生の
面白むし話(22)
食品工場の
「やってはいけない」
(2)
介護保険制度
とお金(1)
食品工場の
「やってはいけない」
(1)
安富和男先生の
面白むし話(21)
身のまわりの感染症
安富和男先生の
面白むし話(20)
自然災害と
感染症対策
知っておきたい
介護のこと
たっぷり野菜で、
心も体も健康に
安富和男先生の
面白むし話(19)
食品事故を
防ぐために
安富和男先生の
面白むし話(18)
家庭でできる
ノロウイルス対策
安富和男先生の
面白むし話(17)
見逃さないで!
病気のサイン
(4)
安富和男先生の
面白むし話(16)
温泉って、
どんなもの?
安富和男先生の
面白むし話(15)
季節と暮らす(2)
安富和男先生の
面白むし話(14)
子どもたちの
心の声を聴く(1)
安富和男先生の
面白むし話(13)
注目すべき
食中毒(2)
安富和男先生の
面白むし話(12)
見逃さないで!
病気のサイン
(3)
安富和男先生の
面白むし話(11)
今さら聞けない?
食品衛生のウソホント
(2)
安富和男先生の
面白むし話(10)
今さら聞けない?
食品衛生のウソホント
(1)
安富和男先生の
面白むし話(9)
季節と暮らす(1)
安富和男先生の
面白むし話(8)
上野動物園飼育係通信
安富和男先生の
面白むし話(7)
アンチエイジング
安富和男先生の
面白むし話(6)
老化のサイン(2)
安富和男先生の
面白むし話(5)
老化のサイン(1)
安富和男先生の
面白むし話(4)
温泉めぐり春夏秋冬
安富和男先生の
面白むし話(3)
注目すべき
食中毒(1)
安富和男先生の
面白むし話(2)
安富和男先生の
面白むし話(1)
食中毒を
防ぐために
食で“魚”を愉しむ(1)
合っていますか?
その日本語
見逃さないで!
病気のサイン
(2)
みんなで減らそう!
フードロス
こんなところで、
ノロウイルス感染
蚊が媒介する感染症
ぶらぶら歩きの
極意(1)
子どもたちへの
環境教育
見逃さないで!
病気のサイン
(1)
ネコからの
「ズーノーシス」
新型
インフルエンザ等
対策特別措置法
乳製品の
魅力と健康
高齢社会で生きる
認知症の予防(3)
認知症の予防(2)
野菜を美味しく食べて
健康に(2)
認知症の予防(1)
身近な食中毒
1か月で1キロ痩せる
ダイエット
野菜を美味しく食べて
健康に(1)
免疫力を高める食事
さまざまな依存症
発達障害とは
おふくろの味の
底ぢから(3)
おふくろの味の
底ぢから(2)
おふくろの味の
底ぢから(1)
子どもの健康
水と健康(2)
水と健康(1)
さまざまな健康障害
リバウンドしない
ダイエットのために
薬と仲良く、
元気な毎日
食生活を
”少しだけ変えて”
健康に
歯の健康は、
心と体の健康
たっぷり野菜で、
心も体も健康に
見逃さないで!
病気のサイン
(4)
見逃さないで!
病気のサイン
(3)
アンチエイジング
老化のサイン(2)
老化のサイン(1)
見逃さないで!
病気のサイン
(2)
見逃さないで!
病気のサイン
(1)
素晴らしき
生きものたち(1)
誌上でめぐる
世界の恐竜化石(1)
バッタ博士の
バッタの話
ネズミ豆知識(2)
人と犬と猫が
ともに暮らすこと(1)
ネズミ豆知識(1)
寄生虫あれこれ(1)
イルカが教えて
くれること(4)
ヤマビルって
どんな生きもの?
沖縄のいきもの事情(6)
目黒寄生虫館に
展示されている
寄生虫(3)
沖縄のいきもの事情(5)
イルカが教えて
くれること(3)
沖縄のいきもの事情(4)
イルカが教えて
くれること(2)
イルカが教えて
くれること(1)
沖縄のいきもの事情(3)
コウノトリの
過去・現在・未来
沖縄のいきもの事情(2)
沖縄のいきもの事情(1)
目黒寄生虫館に
展示されている
寄生虫(2)
目黒寄生虫館に
展示されている
寄生虫(1)
上野動物園の
ジャイアントパンダ
多摩動物公園
昆虫園だより
安富和男先生の
面白むし話(22)
安富和男先生の
面白むし話(21)
安富和男先生の
面白むし話(20)
安富和男先生の
面白むし話(19)
安富和男先生の
面白むし話(18)
安富和男先生の
面白むし話(17)
安富和男先生の
面白むし話(16)
安富和男先生の
面白むし話(15)
安富和男先生の
面白むし話(14)
安富和男先生の
面白むし話(13)
安富和男先生の
面白むし話(12)
安富和男先生の
面白むし話(11)
安富和男先生の
面白むし話(10)
安富和男先生の
面白むし話(9)
安富和男先生の
面白むし話(8)
上野動物園飼育係通信
安富和男先生の
面白むし話(7)
安富和男先生の
面白むし話(6)
安富和男先生の
面白むし話(5)
安富和男先生の
面白むし話(4)
安富和男先生の
面白むし話(3)
安富和男先生の
面白むし話(2)
安富和男先生の
面白むし話(1)
NEW
食で“魚”を愉しむ(4)
今こそ知っておきたい
「GAP」
工場点検から
見えてくるもの
食品衛生に
取り組むあなたへ(5)
食品にまつわる
トラブルから学ぶ
(7)
食品衛生に
取り組むあなたへ(4)
食品衛生に
取り組むあなたへ(3)
食品衛生に
取り組むあなたへ(2)
食品衛生に
取り組むあなたへ(1)
食品にまつわる
トラブルから学ぶ
(6)
もっと知りたい
漬物の魅力
冷凍食品の豆知識
食品衛生管理における
ヒューマンエラー対策
食で“魚”を愉しむ(3)
異臭苦情問題を考える
食で“魚”を愉しむ(2)
大人の食物アレルギー
食品にまつわる
トラブルから学ぶ
(5)
食品企業改革
ものがたり
注目すべき
食中毒(4)
食品にまつわる
トラブルから学ぶ
(4)
食品にまつわる
トラブルから学ぶ
(3)
注目すべき
食中毒(3)
食品にまつわる
トラブルから学ぶ
(2)
食品にまつわる
トラブルから学ぶ
(1)
異物混入問題を
考える
食物アレルギーと、
どうつきあっていくか
食品工場の
「やってはいけない」
(2)
食品工場の
「やってはいけない」
(1)
食品事故を
防ぐために
注目すべき
食中毒(2)
今さら聞けない?
食品衛生のウソホント
(2)
今さら聞けない?
食品衛生のウソホント
(1)
注目すべき
食中毒(1)
食中毒を
防ぐために
食で“魚”を愉しむ(1)
みんなで減らそう!
フードロス
NEW
印象アップ!
ビジネスメールの
コツ(3)
障がい者が働きやすい
職場を目指して
印象アップ!
ビジネスメールの
コツ(2)
合っていますか?
その日本語(2)
京都の魅力を訪ねて(3)
ビジネスに役立つ
文章講座(1)
展覧会に出かけると(4)
先人達の
マーケティングに
学ぶ(2)
先人達の
マーケティングに
学ぶ(1)
展覧会に出かけると(3)
印象アップ!
ビジネスメールの
コツ(1)
植物と人々の暮らし(2)
植物と人々の暮らし(1)
京都の魅力を訪ねて(2)
京都の魅力を訪ねて(1)
片づけられる
子どもに育てる(3)
夜空を眺めて
みませんか(2)
ぶらぶら歩きの
極意(2)
片づけられる
子どもに育てる(2)
夜空を眺めて
みませんか(1)
片づけられる
子どもに育てる(1)
展覧会に出かけると(2)
お宝をまもる営み
今日から始める!
片づけ入門
暮らしの頼れる
パートナー
「介助犬」
展覧会に出かけると(1)
持続可能な
開発目標(2)
持続可能な
開発目標(1)
介護保険制度と
お金(2)
介護保険制度
とお金(1)
知っておきたい
介護のこと
温泉って、
どんなもの?
季節と暮らす(2)
子どもたちの
心の声を聴く(1)
季節と暮らす(1)
温泉めぐり春夏秋冬
合っていますか?
その日本語
ぶらぶら歩きの
極意(1)
子どもたちへの
環境教育