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COLUMN

- コラム

「月刊クリンネス」に掲載された
過去の連載コラムの中から、
テーマ別に選りすぐりの記事をご紹介します。
(執筆者や本文の情報は執筆時のものです)

印象アップ!ビジネスメールのコツ(1)

一般社団法人 日本ビジネスメール協会 認定講師 長野裕香
▼一般社団法人日本ビジネスメール協会▼
https://businessmail.or.jp/

デメリットを知ること

 「ビジネスメール」は、お客様や取引先はもちろん、社内連絡までいろいろな場面で利用されています。上司や隣の席に座る同僚にメールを送るのも、よくあることでしょう。手軽で便利なコミュニケーション手段として、今やビジネスでは欠かせないツールとなっています。
 一方で、やりとりの中で誤解を生じやすく、トラブルを引き起こしやすいというデメリットがあることは、あまり知られていません。実際、1年以内に受信したメールに、なんらかの不快感を抱いた経験がある方は5割に上っており※ 、メールのやりとりの過程で相手を信頼できないと思ったために仕事を依頼しなかった、取引を止めたという話もよく聞きます。
 ビジネスメールによるコミュニケーションは、電話や対面と異なり微妙なニュアンスや感情を伝えることが難しいため、書き方や送り方などに、配慮すべきポイントがさまざまあります。しかし研修を実施している企業は1割もなく、重要なビジネスマナーであるにもかかわらず、誰からも学ぶ機会がないのが現状です。これもメールによるトラブルが後を絶たないことや、自分のメールに不安を感じる人が7割を超える※ 原因のひとつといえるでしょう。使い方次第では、信頼関係の構築も可能なビジネスメールですから、本連載でぜひ正しいマナーを知ってください。
(2015年4月号掲載)

※ 『ビジネスメール実態調査2014』より

ビジネスメールの基本型

 ビジネスメールの書き方に、「型」があるのはご存知でしょうか。
 型というのは、文章を構成する各要素と順番のことで、これに沿えば誰でも丁寧でわかりやすいメールを書くことができます。
 具体的には、(1)宛名、(2)挨拶、(3)名乗り、(4)要旨、(5)詳細、(6)結びの挨拶、(7)署名です。順番に書くと「○○様、お世話になっております。私○○社の△△です。……」となります。電話をかけるときの話し順と同じですね。そして、要旨で「このメールで伝えたい概要」を書いたあと、詳細を書き「今後ともよろしくお願いいたします」と結びの挨拶をし、署名で締めます。
 この型に沿って書くことで、ビジネスメールに慣れない新入社員や学生でも、一定のマナーレベルを保つことができ、相手に読みやすいメールを作成することができます。逆に、この型に沿って書かずに本来あるべき要素がないと、「宛名を書かず送ってくるとは、なんて非常識な」、「挨拶がないなんて、失礼だ」など、ビジネスマナーがなっていないという理由などで、相手に不快感を与えてしまう恐れがあります。
 最近では署名から相手の電話番号や住所を検索する人も多く、署名がないと名刺を探す手間を相手にかけてしまうことになるでしょう。ご自身のメールでこれらの型が守られているか、一度確認してみてください。
(2015年6月号掲載)

「冒頭の挨拶」を使い分けて、好印象に

 ビジネスメールに必須の冒頭の挨拶ですが、毎回「お世話になっております」と書いていませんか。無難だからと、常に同じ挨拶を書いていると「機械的で心がこもっていない」などと相手に感じさせてしまうことがあります。また、初めてメールを受け取ったときにそう書いてあると、「まだお世話になっていないので不快」という声もあります。では、どのような挨拶を使えばよいのでしょうか。
 たとえば初めての相手であれば、「初めまして」や、「お世話になります」と未来形にするのもよいでしょう。お会いしたことのある方なら「いつも大変お世話になっております」、「先日はありがとうございました」、「お久しぶりです」などがあげられます。社内であれば「お疲れさまです」、「おはようございます」、「こんにちは」などのシンプルなもので構いません。ポイントは、相手との関係性や状況によって、さまざまな挨拶を使い分けることです。使い分けは、相手のことを考えなければできないものですが、特に難しいことではなく、そのときに出てくる自然な挨拶をそのまま書くだけのことです。これだけで「あなたに思いを馳はせています」というニュアンスがさりげなく伝わります。
 気持ちのよい挨拶ができる人の印象がよいのは、メールも同じです。冒頭の挨拶文を使い分けて、ビジネスメールをグッと好印象にしましょう。
(2015年8月号掲載)

お礼メールのポイント

 感謝の気持ちを伝えるお礼メール。資料の拝受、打ち合わせ終了、そして昨日のお食事会まで、お礼メールを送る場面は意外と多いものです。しかし「ありがとうございました」だけで気持ちがしっかり伝わるかというと、なかなか難しいものです。では、どのような点に気をつければよいのでしょうか。
 一番よいのは、「自分の言葉で書くこと」です。具体的にどういった点に感謝をしているのかということを、一文入れるようにするとさらに好感が持てます。メールの文章も書きやすくなるうえに、自然と気持ちもこもるからです。「資料をご準備くださり」、「お忙しいところお時間をとってくださり」といった一言があるかないかでは、大きく印象が変わります。また、特にお礼に関しては「スピード」も大切です。当日もしくは翌日中にお送りする方が時間があいてから送られてくるよりも、圧倒的に印象がアップします。せっかくメールを送るのであれば、早めを心がけましょう。
 感謝の気持ちを持ってこそ生まれる信頼関係。これがないために、仕事がうまく進まないこともよくあります。お礼のメールが、コミュニケーションの潤滑油となるためにも、相手にしっかりと気持ちが伝わるメールを書くことを意識してみてください。
(2015年10月号掲載)

「謝罪メール」の注意ポイント

 ビジネスにおいて謝罪する際には、原則としてメールは使わないほうがよいでしょう。メールは、情報伝達ツールのひとつであり、内容の重要度や緊急度次第で、「対面・電話」といった他のツールと使い分けなければなりません。その重要度の判断基準のひとつが、謝罪の場面です。謝罪をするのであれば、まずは電話をしましょう。その際に相手につながらず、急いで先にメールを送らなければならないという場面になって初めて、メールを送ります。このため冒頭に、「お電話を差し上げたのですが、ご不在のようですのでメールで失礼します」という一文を入れることが重要です。これがないと、「謝罪をメールですませようとしている」と思われて、信用を失いかねません。
 文中では、言い訳をしない、対応策を提示する、お詫びの挨拶で締めくくるなどさまざまなポイントがありますが、特に言葉選びには、細心の注意が必要です。以前、締めの挨拶に「以上、よろしくお願いします」と書いた人がいましたが、相手には「お詫びは以上で終了。あとはいつも通りよろしく」と伝わってしまい、激怒させたという事例もありました。メールには感情が伝わりにくく、誤解を与えやすいというデメリットもあります。メールのメリットだけでなく、こうしたデメリットもきちんと把握したうえで、他のツールとうまく使い分けるようにしましょう。
(2015年12月号掲載)

新入社員のメールミス

 ある新入社員が体調不良で仕事を休むことになり、メールで会社に連絡をして上司に叱られたというケースがありました。なぜ、電話で連絡をしなかったのでしょう。その理由は、「仕事を休むのはビジネス上のことなので、ビジネスメールの形式を守ればよいと思った」でした。携帯メールやLINEでなければ、問題ないと考えていたようです。
 また別の新入社員は、上司からいつも「用件・指示のみの1行メール」が来るので、これがビジネスメールの書き方だと思い、取引先に1行メールを送って叱られました。もちろん上司は、”内部宛て・外部宛て“でメールの書き方を使い分けていました。
 「教えてもらっていなければ、仕方ないのでは」と、同情の声があがることもあります。特に2つめの事例では、上司から見て学んでいることから、「社員教育ができていない」と企業に対する批判の声もあるでしょう。こうしたことからも、新入社員のビジネスメール上の失敗を世代間ギャップや本人のビジネス力の問題と安易に言い切ることはできません。
 上司や先輩の皆さんは、メールソフトの操作方法だけではなく、ビジネスメールの書き方はもちろん、使う相手や場面も含めて指導する力が求められていることを認識する必要があるでしょう。
(2016年2月号掲載)

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