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COLUMN

- コラム

「月刊クリンネス」に掲載された
過去の連載コラムの中から、
テーマ別に選りすぐりの記事をご紹介します。
(執筆者や本文の情報は執筆時のものです)

印象アップ!ビジネスメールのコツ(2)

一般社団法人 日本ビジネスメール協会 認定講師 長野裕香
▼一般社団法人日本ビジネスメール協会▼
https://businessmail.or.jp/

件名を付けるときのポイント

 メールを相手に読んでもらうためにまず重要なのが、件名です。「お疲れさまです」、「田中です」などと書いてあるものを見かけますが、これは挨拶や名乗りであり、そもそも件名とはいえません。受信者はメールの内容や重要度や緊急度がわからないために、開封を後回しにしたり、最悪の場合には迷惑メールと勘違いして読まずに削除してしまったということも多々あります。
 良い件名の付け方は、メールの概要がわかること、内容がイメージできることです。「~のお願い」、「~のご連絡」、「~のご報告」、「~のご提案」とあれば、受け取った相手は話の概要をおおまかにつかんでから開封することができ、さらに「第1回」、「No.2」、「4月1日」など、用件の期日や回数、号数などを書いておくと、より内容が具体的になり、過去のメールをさかのぼって検索するときの手がかりにもなります。
 件名では、このメールで何を伝えたいのかを書くこと。「○月○日までにご返信ください。△△の件について」というように、受信者がその後の行動を起こしやすくするために必要とされる事柄を想定するのもよいでしょう。
 まずは受信者に「このメールは自分に関係がある」、「これは必要なメールだ」と思ってもらえる件名を、限られた字数の中で工夫して付けましょう。
(2016年4月号掲載)

署名に入れるべき情報と、上手な活用方法

 署名はメール上の名刺です。このため、署名に入れるべき情報は名刺と同等の内容であり、会社名、部署名、役職、名前、住所、電話番号、ファックス番号、メールアドレス、ホームページのURLなどです。
 ポイントは、受信者がアクションを起こすときに必要な情報が入っていることです。メールをもらった件について電話をしようと思ったときに電話番号がない、書類を送りたいのに住所がない。相手にこうした不便をかけないための配慮として、重要な役割を持つのが署名です。ですから職場内メールの署名には電話番号のあとに内線番号を入れるという配慮ができれば、ビジネススキルとしてもワンランクアップでしょう。
 また、署名に営業時間を書くようにしたところ、お問い合わせが増えたという事例もあります。これは受信者が「今なら電話をしても大丈夫」と確信したからと考えられます。自社のイチオシ商品のURLを書くとアクセスが増えるなどの事例もあり、署名は戦略的なツールとして使うこともできます。
 署名は、企業イメージも背負っています。信頼感のある硬い印象の企業にもかかわらず個人的にキラキラ署名を使っていては、企業イメージにプラスとはいえないでしょう。署名も名刺のように、社内で統一化することを業務改善として行う企業もあります。
(2016年6月号掲載)

正しい宛名の書き方

 今回はメールの冒頭に書く宛名について、基本的な考え方をご紹介します。注意すべきポイントは、手紙の宛名と同様のルールだということです。たとえば御中と様の併用、役職と様の二重敬称は避けます。また最近では、「殿」は目下の人に使うということから使用しない傾向にありますので覚えておくとよいでしょう。
 宛名を書くときに、相手の「会社名・部署名・役職名・名前」など、名刺にある情報を「すべて、毎回、必ず」入れるべきかについてですが、ビジネスメールなので基本的にはすべて書くべきです。けれど相手との距離感によっては、少しずつ省略していってもかまいません。親しみある距離感を伝えたいのであれば、会社名・部署名などを徐々に省略してゆき、最後は「吉田さん・吉田さま」だけでも特に失礼にはあたらないでしょう。すべての情報を書くデメリットは、ある程度近しい間柄である場合でも相手に一定の距離を感じさせてしまう点ですが、メリットは、どれだけ普段は仲良くしていても取引先でありお客様であると節度を持って接していることを表現できることです。
 今後、その相手の方とどのような距離の間柄になりたいかによって、宛名の情報を徐々に減らしていくなどの書き分けを行うことができれば、かなりの上級者といえるでしょう。
(2016年8月号掲載)

TO、CC、BCCの違いと注意点

 メールを送る際、宛先のTOに入力した人へは、「あなたに送っています」という意味になります。このためCCにほかの人が入っていたとしても、返信義務があるのはTOの方です。CCは「TOの人に送ったので参考までにご覧ください」というときに利用します。もちろんCCの方に返信の義務はありません。こうしたルールから、あまりに大人数をTOに入れてしまうと、誰が本来の宛先で、誰が次の回答をすべきか混乱させてしまうことがあります。また、自分がCCに入っているのに返信をすると、場合によっては差し出がましい印象を与えることもあるので注意してください。
 BCCは、TOやCCに入っている人に知られずにメールを共有するときに利用します。たとえば苦情対応の場合に、TOに相手方、BCCに所属長や関係所属を入れて送信するなどです。また、一斉配信でメールを複数名に送りたいときに利用する場合もあります。送信先同士がお互いに面識がないまま、全員CCに宛先を入れて送ってしまうと「メールアドレス流出」や「個人情報流出」となることを防ぐためです。ただし現場では、BCCに入れたつもりがついうっかりCCに入れてしまったなどのミスも多く、大きな問題に発展することがありますので、BCCの利用に際しては、細心の注意が必要です。
(2016年10月号掲載)

返信の件名“Re”の使い方

 「受信したメールの件名を、そのままにして返信するのは失礼だ」というビジネスメールマナーが主流の時代もありました。しかし現在は、件名を変えてしまうと何の件のやりとりなのかがわかりにくく、あとで検索したときに探しにくいという理由で、件名を変えないのが一般的になっています。ですから返信をする際にも、件名の”Re“は、消さなくてよいでしょう。また、お互いの返信が何度も続くケースであっても、原則として同じ件名のままやりとりをして問題ありません。
 スレッド形式※ でメールを管理できるソフトが増えたことも理由のひとつです。この場合、件名が変わると別スレッドが立ってしまうため、管理がしにくくなります。その点、件名をそのまま残せばスレッドもひとつのまとまりのままなので、やりとりの経過が一目瞭然なのです。
 ただしやりとりを進める中で、メールの件名と本文の内容が合わなくなったときや話題が変わったときには、必ず件名を変えるようにしてください。そうしなければ、過去のメールを検索する際に見つけにくく、探すのに時間が長くかかってしまいます。返信の件名の”Re“も、相手にわかりやすいかどうかを意識することがポイントです。
 内容にあった件名をつけるのがビジネスマナーであり、相手への配慮に繋がるのです。
(2016年12月号掲載)

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