- 日替わりコラム
Thu
11/12
2020
通常の家庭用冷凍庫はマイナス16℃~マイナス20℃に保たれているため、細菌やカビは生えないと思っている方が多いと思います。しかし食品苦情事例では、冷凍食品にカビが生えていたというケースが比較的多く報告されています。苦情事例でよくみられるクラドスポリウムというカビは一般的な家庭に多く存在する種類のもので、このカビはカビ毒を出しません。では、なぜ冷凍食品にカビが生えてしまうのでしょう。
ひとつ目は、冷凍食品の取扱い方に原因があります。たとえば、食品を使おうと思って一旦室温に戻したあと、使わずに再凍結した場合、空気中に漂っているカビの胞子が付着して、食品と一緒に冷凍庫の中にカビを持ち込んでしまうことになります。
ふたつ目は、特に夏場はアイスクリームや氷など冷凍庫に入れる食品の量が多くなり、扉の開け閉めが頻繁になることです。そのような状態ですと、適正な温度を保つことが難しくなり、瞬間的に0℃より高くなることがあるかもしれません。そうなると、すでに入り込んでいたカビが、包装の破れなどで食品がむき出しになっているところで増えてしまうのです。
カビをはじめとする微生物は、冷凍しても死なないことを改めて肝に銘じながら、正しく冷凍し、食することが重要です。
元国立医薬品食品衛生研究所 衛生微生物部 部長・一般財団法人 環境文化創造研究所 顧問小西良子
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