- 日替わりコラム
Thu
12/3
2020
近年、介護施設が台風や大雨の被害にあうケースが絶えません。今年7月に、熊本の特別養護老人ホーム(特養)で14人が犠牲となったことは記憶に新しいでしょう。参考になるのが2019年の台風19号で、1階の天井まで浸水したにもかかわらず、120人の入所者全員が無事避難した埼玉県の特養のケースです。同施設では、被災を予期して避難の準備をしていました。通常、夜勤は1フロアを1人の職員が担当しますが、当日は20人が施設に待機して入居者の避難に備えました。
同施設では20年前の水害の教訓を活かし、3階建ての別棟を建てて災害に備えていたのです。最近の水害の傾向として、急激に水位が増してくるという現象があります。つまり、避難する前に水がどんどん流れてくるために、実際に警報が発令されてからでは間に合わなくなる場合もあります。水位が増すとエレベーターが使えなくなり、電気が途絶えた真っ暗な中での避難となることでリスクが高まります。
いかにスピーディに逃げるか、それには人員を増やして素早く避難するのが最も有効な方法です。そしてなにより重要なのは、マニュアルの作成です。同施設ではマニュアルを早くから作り、職員の危機管理意識を高めてきたことで、迅速で組織立った動きにつながったのだと考えられます。ポイントは人、建物(避難場所)、マニュアルの3点です。
介護問題研究家中村和彦
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