人前で緊張せずに話すために

　頑張れば頑張るほど、その努力が報われない結果に繋がるという法則、それがエミール・クーエ※ の「努力逆転の法則」です。
　その内容は、
(1)意志力と想像力が相反した場合は想像力が勝つ。
(2)意志力で「努力すればするほど」想像力は強化され、その意志力(努力)の方向とは反対の結果を招く。
(3)意志力と想像力が相反した場合、想像力の強さは意志力の2乗に正比例する、というものです。
　たとえば人前で話すとき、誰でも「緊張したらどうしよう」と考え、「緊張するまい」と意志の力でなんとかしようとします。しかしこのとき、「緊張するまい」という意志と「緊張するかもしれない」という想像が相反するために、努力すればするほど想像力が強化され、「緊張してしまった」という結果を招くのです。これを解決するには、2通りの方法があります。意志と想像の方向を、合わせてしまえばよいわけです。
　ひとつは、「自分は緊張しないだろう」と想像の方向を変更し、「緊張するまい」という意志の方向と合わせる方法ですが、簡単ではありません。これができる人は、そもそも緊張しない人です。そこでお勧めなのは、「緊張するかもしれない」という想像に意志の方向を合わせて「緊張してもよいじゃないか」と思うことによって、落ち着いて話ができる精神状態を作り上げるという方法です。

※ クーエ療法の創始者。クーエ療法とは、「日々あらゆる面で、私はますます良くなりつつあります」と心のなかで唱える自己暗示法

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